JMPにより、ツールの性能を評価するためにウエハーの実験を何度も行う必要がなくなります…このようなwhat-ifシナリオ分析に対応するJMPは、本当に有益なツールです。
— ポール・ディーン、統計手法プログラムマネージャー
チャレンジ | 顧客が競争力のある価格を維持しながら、さらにコンパクトかつ高性能なデバイス設計に対する市場の需要に応えることを可能にする。 |
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解決策 | データ収集および分析手法、プロセス、フレームワークの開発と改良を行い、ハイテク半導体製造サプライヤーのあらゆる部門において製品とプロセスに対する理解を深める。 |
結果 | ASMは、効率性と有効性において優れた成果を得た。「統計的に裏付けられたデータ分析に対するJMPの視覚的アプローチにより、私たちは製品とプロセスに対するより深い理解を得るとともに、以前よりもはるかに迅速に業務を遂行できるようになりました。」 |
集積回路のトランジスタ数は、ムーアの法則に従って変化していると言われています。つまり、集積回路上のトランジスタ数は約2年ごとに2倍になるということです。このようなトランジスタ数の継続的な増加に対する需要は、半導体のサプライチェーン全体に複雑さを伴う新たな課題をもたらしています。
世界的なウエハー加工装置メーカーであるASM International(以下ASM) は、集積回路製造における新たな可能性に挑戦し続けています。ASMが 50年近くにわたって培ってきたイノベーションにより、世界中の半導体メーカーは、コンピューター、スマートフォン、家電製品向けのトランジスタの最小化と開発を行い、かつてないほどコンパクト、迅速かつパワフルなデバイスの製造を実現してきました。
このような頑健な研究開発基盤を有するASMでは、当然ながら従業員の多くがエンジニアです。「私たちは、エンジニアリングの世界に身を置いているのです。」ASMの統計手法プログラムマネージャーであるポール・ディーン氏はこのように述べています。「まず、大学で学んだスキルを活かしてプロセスとハードウェア開発を行うことから始めます。」開発における競争優位性を維持するために、ASMは常に新しい技術を採用し、そして世界基準へと発展させ続けています。「実験とプロセスをより深く、効率的に、そして完璧に理解するためには、化学、物理、または工学分野に精通しているだけでなく、統計手法を使いこなすことができる人材が必要です。」
機械工学を学んだディーン氏は、現在、プログラムマネージャー兼定量分析コンサルタントとして、幅広い顧客層とプロジェクトを担当しています。企業全体でデータ主導の製品開発とプロセス管理に積極的に取り組むことにより、ディーン氏は事業全体の運営能力と業績の向上をサポートしています。
「ASMの中核となるこのプログラムに参加した際、私は社内の働き方を大きく変えるチャンスだと感じました」とディーン氏は語っています。「弊社のプログラムは、製品および化学品開発、ハードウェアの許容限界、製品の信頼性向上、試験計画の最適化、サプライチェーンの開発、現在継続中のサービス、運営パフォーマンスの最適化など、弊社のあらゆる面の改善に貢献しています。我々が会社のより多くの領域に接するほど、それに伴いデータの必要性も高まります。企業の各部門を調査し、部門の垣根を超えて自社製品の現状をより包括的に理解するよう努めています。これにより、社内全体のシステムの改善につながり、顧客のニーズにより適切に応えることができるようになります。」
ASMのチームは、改善による大きな効果が期待できる領域の特定に尽力しています。「私は、よりスマートかつ効果的に、そしてよりリスクを意識した方法による業務の遂行を追求しています」とディーン氏は語っています。「自社の効率性と有効性を高めることが、私の使命です。データを扱う場合は常に統計手法を活用することを目指しています。データは本質的に我々のビジネスのどこにでも存在しています。私が自分の業務を適切に遂行することで、周りの人たちもあえて別の方法で業務を行うことに疑問を持ち始めることでしょう。分析の標準化を実現するために、私たちは JMPのアドイン機能を利用しています。これにより、世界中に梱包・配布できるような自動分析セットを開発し、標準化を行いました。」
「これは通常、統計手法のトレーニングから始まりますが、それだけにとどまりません。ASMの実際の使用例と課題を用いたトレーニングは、エンジニアと科学者のスキルアップに役立ちますが、効果的なトレーニングを行うためにはしっかりとした基盤が必要となります。そのため、私は現場における従業員との業務とマネジメント業務を兼任しながら、枠組みの開発を行っています。」
ディーン氏はこのように続けます。「私はこれまでに、データ分析と統計学に対する人々の態度が変化したことを多数見てきました。適切なツールを提供すれば、業務の遂行が瞬時に容易になるのです。以前は何時間も費やしていた業務が数分で完了し、そしてその結果はより完全でリスクを認識しやすくなっています。これにより、データに対する新たな洞察を得ることができ、これまで実現できなかった製品やサービスを開発することが可能となります。」
JMPにより、ツールの性能を評価するためにウエハーの実験を何度も行う必要がなくなります…このようなwhat-ifシナリオ分析に対応するJMPは、本当に有益なツールです。
— ポール・ディーン、統計手法プログラムマネージャー
「私にとってのJMPの最大のメリットは、数理モデルを提示するだけでなく、モデルを多くのことに利用できることです」とディーン氏は述べています。「たとえば、製品性能のシミュレーションを行い、その結果を利用して製品の基盤となっているハードウェア、ソフトウェア、化学品の仕様と性能を評価することができます。JMPのシミュレータを用いて実験を適切に行うことで、ツールの性能を評価するためにウエハーの実験を何度も行う必要がなくなります。また、『温度調節器の設定範囲が狭い場合はどうなるか』、『チャンバーマッチングを改善するための、コストパフォーマンスが最も高いパラメータは何か』といったさまざまな問題に取り組むことができます。このようなwhat-ifシナリオ分析に対応するJMPは、本当に有益なツールです。」
JMPにより、ASMのエンジニアたちは「問題を深く掘り下げ、現状を把握し、クリックしてサブセットや別のグラフを作成し、さらに理解を深めることができます」とディーン氏は語っています。「そしてわずか5つのステップにより、問題の根本的な原因を突き止め、有益な新しい見解を得ることができるのです。これはまさに、データ主導型かつグラフ表示形式の5 Whys(なぜなぜ分析)であると言えるでしょう。」
ASMの定量的開発のメリットを例示するために、ディーン氏は同社が半導体業界のニーズに応え続けるために必要な、プロセスノード向けの新たな化学品開発について言及しています。これまでは、化学者は「直感的な」アプローチを採用し、有効な領域が見つかるまでさまざまな組み合わせの実験を行っていました。しかしこの方法では、成功例に対する十分な理解を得ることができません。代わりの方法について、ディーン氏は次のように説明しました。「私たちは理解を深めると同時に、より効率的に実験を可能にするプロセスフローを採用しています。私たちが導入している技法の1つは、実験の計画段階でカスタム設計を利用することです。次に、「モデルのあてはめ」を用いてプロセスとプロファイルのモデル化を行い、シミュレータを利用して自分たちの理解が正しいかどうか試験を行います。この方法によって自分たちの疑問をすべて解決することができるだけでなく、研究室における実験時間を大幅に短縮することが可能となります。」
また、ディーン氏は次のように述べています。「企業全体の業務時間の大幅な短縮、上級管理職からの明確な戦略提示とサポートにより、製品を市場に投入するまでの時間をさらに短縮でき、新たなテクノロジーを迅速に顧客に提供できるようになります。実験からプロセス、ハードウェアの開発に至るまで、あらゆる面に関する費用便益分析を行う必要はありますが、それ以上のことはする必要はありません。JMPにより、「効果的かつ効率的に」という最大のメリットを享受できました。」