「[可視化によって]データに含まれる情報が明確になり、
取るべきアクションへとつながります。」
Coherent社 オペレーションディレクター Melisa Buie博士
課題 | 低コストと高品質が求められる業界では、レーザー技術における革新的で「リーン」なアプローチが必要だった。 |
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ソリューション | JMP®によって、大量のデータセットの活用が可能になり、統計的手法を製造プロセスのすべての局面に適用し、問題を事前に特定して対処。 |
結果 | JMPの包括的で使いやすい機能によって、データに基づく意思決定と効率化を実現。 |
Coherent社では、1966年創立以来、効率的な製造の実現を重視してきました。創設者の1人の自宅を本社に構え、家の雨どいを部品として活用するなどして最初のレーザー製品を製造しました。以来、現在に至るまで世界有数のフォトニクスメーカーとして、さまざまな業界向けにカスタマイズされたレーザー技術を提供しています。
オペレーションディレクターのMelisa Buie博士は、海軍調査研究所で計算開発を行い、その後、同僚とともにプラズマ診断センサーの開発のスタートアップに取り組みました。その後、Coherent社と協業するなかで、彼女はレーザー製品に魅了されました。「息子が、レーザーが最高にクールだと言ったの」と当時を回顧し、以来、夢中で仕事をしてきたと述べました。
Buie博士のキャリアは当初、レーザーを使用した防衛アプリケーションが中心でしたが、Coherent社では、携帯電話のガラスの切断からリソグラフィーまで、すべてに役立つ技術として、半導体およびマイクロエレクトロニクス製造用のレーザーを開発しています。この分野は、進化する市場への適応を必要とする競争の激しい業界です。また、パフォーマンスの低いサプライヤーは長期的には生き残ることができません。低コストでの高いパフォーマンスと、信頼性の向上を顧客が期待しているためです。
創立以来、一貫してこれらの課題に対処してきたことが、Coherent社をフォトニクス分野のリーダーに成長させました。高品質を確保し、テクノロジーの革新的な利用法を見極めることは、Coherent社が既存の市場での地位を維持しながら、新しい分野に進出するための鍵となります。「特定の市場では、ツールや機器が特別の目的で使用されるものばかりであるため、新規参入が非常に困難になります。そのため、たとえ新しいテクノロジーを持っていたとしても、手遅れになることもあります」とBuie博士は説明します。彼女のチームは判断ミスを許されないプレッシャーにさらされているのです。
「C-Lean」- リーン生産方式という考え方は、もともと製造工程の無駄の削減を目的として、トヨタが生み出しました。Coherent社は、「C-Lean(Coherent Lean)」によってこの概念をさらに一歩進め、特定の工程に合わせて調整されたリーン原則を使用しています。リーンシックスシグマのブラックベルトとして、Buie博士はリーン原則を製造プロセスに統合すべきと主張しています。また、オペレーションディレクターでもある彼女は、業務にこの原則を適用し、改善点を発見し、成功を続けています。
生産の各フェーズにおいて利用できるデータ量が増えるにつれて、リーン原則をより広範囲の変数に適用できるため、オペレーションチームはプロセスの初期段階で問題を特定し、意思決定のためにより詳細に統計を活用できます。ただし、この豊富なデータには課題があります。統合されていないプラットフォームのさまざまな場所にあるデータを組み合わせて標準化し、1つのデータセットにして活用できる状態にする必要があります。このため、分析プロセスに大幅な遅延が発生します。
もう1つの課題は、オペレーションチームによる実測値データの収集に時間がかかることです。「このため、データ収集プロセスを簡素にする必要があり、プロセスに自動化とデータベースの更新を組み込んでいます」とBuie博士は言います。これらの自動化されたデータ収集システムにより、「レーザーが接続された時点からすべての取り得るデータポイントを収集しています。また、これらすべてに対処することは大きな課題ですが、それにより、製造環境での製品に対する理解を次のレベルに引き上げることができるのです」。
「[可視化によって]データに含まれる情報が明確になり、
取るべきアクションへとつながります。」
Coherent社 オペレーションディレクター Melisa Buie博士
Coherent社に入社した際、Buie博士はJMPに関する幅広い経験を持っており、競合製品に対するJMPの優位性を深く理解していました。当時、Coherent社は、別のソフトウェアを使用していましたが、Buie博士らが、JMPが彼らの仕事にとって重要であると主張した結果、社内で採用されました。また、Buie博士のチームがJMPに寄せる信頼と熱意が非常に高かったので、チームメンバーが他部署に異動するにつれて、JMPは社内で徐々に広まりました。
Coherent社のトレーニングプロセスで、新入社員にJMPを習熟させることは、それほど困難なものではありません。いくつかの初心者向けのオンライントレーニングと他の統計ソフトウェアの経験を組み合わせれば、JMPにすぐ慣れることができます。Coherent社の光学研究開発担当ディレクターであるBruce Perilloux氏は、「JMPを試してみると、マルチウィンドウとビジュアルコマンドで構成されたGUIは簡単に操作でき、同じタスクをすばやく実行できるようになりました。セルフトレーニングのわずか1時間後にレポートを作成できたのです。私はもう以前使っていたソフトウェアには戻れません」と説明しています。JMPの新機能を紹介するトレーニングにより、Coherent社のチームは新しい方法を習得し、分析アプローチを改善し続けることができます。
オペレーションチームが使用するJMPの3つの主要な機能は、DOE(実験計画法)、Gauge R&R、そして探索的データ分析です。特に彼らはJMPの動的な可視化機能を活用し、分析をすばやくレビューして、データに基づく意思決定を行っています。
可視化により、複数のソースからの複雑なデータを社内外の人々に分かりやすく提示できるようになり、「データに含まれる情報が明確になり、取るべきアクションにつながります」とBuie博士は言います。また、意思決定は統計手法に詳しくない人々によって行われることがありますが、データ可視化ツールは、そのような人々でも判断しやすいシンプルなプラットフォームを提供します。高度な統計解析や解釈のトレーニングを受けていないエンジニアにとっても、JMPはデータを十分に理解し、顧客に重要なメッセージを伝えるのに役立っています。
複雑な製造プロセスを最適化する中で、Coherent社のエンジニアは、歩留まりが70%から99%の間で変動する現象に悩んでいました。設備を徹底的に調査しても、問題の原因を特定することはできませんでした。「すべてが問題なく、何も異常がないように見えました」とBuie博士は振り返ります。また、プロセスが失敗した場合、パーツは再加工できず、最終的に廃棄処分となります。「1回の組み立てで製品の30%が不合格になると、1,500ドルから2,000ドルが無駄になります」とBuie博士は説明します。
そこで、チームはJMPを使用して、炉、温度、浸漬時間などのさまざまな要因をデータ解析することから始めました。その結果、原因として2社のサプライヤー間で歩留まりにばらつきがあることを特定しました。1社のサプライヤーが100%の歩留まりを達成する一方、もう1社の歩留まりは70%でした。「私たちの生産は不均一、すなわち、日々の生産において各サプライヤーの割合が均等ではなかったのです。1社めのサプライヤーの原料を使用してから、もう1社のサプライヤーの原料を使用していたのです。つまり、[歩留まり]は、使用していたサプライヤーに依存して変動していたのです」と彼女は言います。これらの調査結果をもとに、Coherent社はサプライヤー間の原料品質の均一性を向上させ、より高い歩留まりを達成できました。「サプライヤーに基づいてデータを解析する必要があるという教訓を得られたのです」とBuie博士は振り返ります。
「多くの人々が私たちのグループでキャリアを開始し、社内で次のステップに進みます」とBuie博士は、若いエンジニアたちについて説明しています。実践的な管理職として、彼女は将来の役割を見据えたチーム作りを徹底していると自負しています。「彼らは本当に強い基盤を体得しているので、どの部署に行っても活躍できます」とBuie博士は言います。JMPが不可欠である限り、社内で堅牢な統計手法が活用され、他の職務でも利用が広がるでしょう。
Buie博士は、社内でJMPの機能の有用性を説くだけでなく、自身が教鞭を執るサンノゼ州立大学(材料工学部)でもJMPを紹介しています。「多くの卒業生が私を訪ねて、『JMPを紹介してくださってありがとうございました。仕事でJMPを使っています。』と教えてくれます」とBuie博士は言います。教育者およびビジネスリーダーとして、Buie博士は、JMPが自身のキャリア形成に役立ち、また、数多くのプラットフォームを活用できる点が素晴らしいと強調します。「JMPのない日々は考えられないのです」と、Buie博士は結びました。