分析の提唱
JMPユーザーインタビュー: PCC Structurals Steve Hampton氏
MinitabからJMPに移行すると、JMPのさまざまなリソースを活用できるという「非常に大きな付加価値」が得られるため、ラーニングの効果や社員のやる気に素晴らしい好影響が出るとHampton氏。

工程管理マネージャーのSteve Hampton氏は、金属鋳造業界にリーンシックスシグマを率先して導入してきました。インベストメント鋳造業者のPCC Structuralsに15年前にエンジニアとして入社した同氏は、顧客の冶金・寸法に関するニーズによりよく応え、納期を短縮し、コストを削減するのに統計的アプローチが役立つ可能性があることに気づきました。
スティーブ氏は、現在のプロセス制御の管轄範囲では、プロセスの 1 つの側面だけでなく、バリュー ストリーム全体を考慮することが重要であると述べています。 どのようなプロセスでも、早期の変更は連鎖的な影響を及ぼす可能性があります。分析ワークフロー全体を広い視野でとらえることで、下流でのやり直し、欠陥、コストを削減する、的を絞った改善を導入することができました。
最近の会話で、スティーブは、組織と自身のキャリアの両方において、JMP からより多くの価値をどのように得たかについて、考えとアドバイスを共有しました。
Meg:業界最先端のツールを既に使用していると考えている組織は、わざわざ新しい方法やツールを導入しても、導入に伴う混乱を引き起こすだけだと考えがちです。しかし、たとえ過渡期に多少の不具合や面倒があったとしても、それを上回る大きなメリットを得られる場合もあります。社内でデータ分析への積極的な取り組みを進めるにあたって、どのような改善事例や投資効果が参考になりましたか?
Hampton氏: その質問を伺って、学生時代に学んだ活性化エネルギーの曲線を思い出しました。最初、反応が起きるまでは大きなエネルギー障壁がありますが、適切な触媒を加えることにより、そのエネルギーは大幅に減少します。私は、JMPとそのサポート体制が、当社にとっての触媒であると考えています。
当社では、NEIやDMAICといった思考法を長く採用してきており、主にMinitabを統計ツールとして利用してきたものの、ANOVAと単回帰分析のマンネリ化にかなり行き詰っていました。それだけでなく、MinitabとExcelには制約があることから、エンジニアは分析中に何度もこの2つのツールの間を行ったり来たりしなければならず、結局、多くのエンジニアは、自分たちが使い慣れていたExcelだけで分析を済ませてしまっていました。その結果、データや工程の可視化についてはそれなりに許容できたものの、意思決定における統計的な厳密さについては、むしろ足を引っ張るような事態になっていました。
初めて JMP を知ったとき、私は Minitab のスーパーユーザーでしたが、正直に言うと、その価値はすぐにはわかりませんでした。 それでも、@Jordan_Hiller のオンサイトトレーニングといくつかの優れたオンデマンドウェビナーの助けを借りて切り替えてからは、振り返ることはありませんでした。移行を経験した人は皆、同じように感じています。
当社の工場において転機となったのは、大規模な工程からの逸脱が生じた時でした。それまでのツールでは問題を解決できず、埒(らち)が明かないまま数十万ドルのコストがかかっていました。そこで、プロジェクトチームは、プロセスマッピングとブレインストーミングの基本に立ち返り、JMPの強力な可視化機能を使って、グループ内で理論を素早くテストし始めました。そうすることで、それらの理論がもっと追求する価値があるものかどうかを統計的に検証することができました。その結果、実験で優先すべき事項が何かを迅速に理解できるようになり、工程管理における優先事項が根本的に変化しました。
その結果、当初はいくつかの部分に集中していたプロセス逸脱を解決しただけでなく、すべての部分で改善が見られました。 JMP によって実行可能な項目にたどり着くまでのスピードと、グラフ ビルダーとプロファイラーを使用して複雑な問題を絞り込む柔軟性により、PCC の上級管理職は当社にとっての JMP の価値を理解することができました。 今年、当社では、キャリアの初めからこの考え方と JMP を使用する能力を身に付けるために、すべての技術ローテーション担当者に STIPS コースのトレーニングを実施しています。
Meg:そういえば、JMPの新規ユーザーには2タイプの方がいるというお話でしたね。大学を卒業したばかりで、JMPのようなツールを実務で使用したことがない方と、キャリアをすでに積んでいて、統計ツールに関してはすでにはっきりした好みをお持ちの方ということでした。あなたは、以前Minitabを愛用されていたので、後者にあたりますね。
そうしたキャリアをすでにお持ちの方々は、旧来のツールからJMPへの移行に難色を示すにあたって、JMPの統計的アプローチが自分たちの専門知識と齟齬をきたすのではないかと心配されているようです。JMPを導入したことで、あなたやあなたのチームの専門知識やスキルの活用方法はどのように変わりましたか?
Hampton氏: グラフビルダーとプロファイル機能は、ドメインエキスパートとJMPのヘビーユーザーにとって、解決が難しい課題の謎を解くカギとなる「ロゼッタストーン」のような存在です。JMPのダイナミックな可視化機能によって、ドメインエキスパートは、異なる設定や異なるグラフィック環境でデータが何を示しているかを見ることができるようになります。これはまさに「アハ体験」とも呼べるもので、彼らは頭の中のイメージを実際に目で確認できるようになるわけです。また、JMPを使用すると、工程要素間のつながりを他のチームメンバーに非常に明確に説明できるようになります。
そのため、私はプロジェクトチームのミーティングにおいて、ドメインエキスパートが「この要因とあの要因を比較してみよう」「あれとこれを重ね合わせてみよう」と会話を進める様子をさっと見て、彼らが今まさに見ていることや、そこから何が成しえるかをチームに話し始めたりしています。
Meg:JMPを120%活用するためにどのような取り組みをなさっていますか?ソフトウェアとして使用するだけの方もいらっしゃって、それで十分かもしれませんが、一方で、組織全体でJMPに真剣に取り組んでいる方もいらっしゃいます。JMPのさまざまなリソースを活用してこられたあなたの経験上、それによってどのような価値が得られましたか?
Steve: 私は JMP を約 6 年間 (JMP Pro は 2 年間) 使用していますが、JMP コミュニティに本格的に関わるようになったのは数年前のことです。私は JMP コミュニティのディスカッション ボードでかなり積極的に活動しており (主にスクリプトのヘルプを求めています)、2019 年の Discovery Summit にも参加しました (最高でした!)。幸運にも、少なくともその年の Discovery Summit で発表者に選ばれました。
また、オンデマンドのウェビナーを定期的に視聴し、STIPS トレーニングを修了し、オンラインの DOE トレーニング コースを受講したので、この時点では全力で取り組んでいると言えます。
今挙げたものはいずれも、JMPのソフトウェアに留まらない計り知れない付加価値に関してですが、多くの人はそれに気づいていないようにも見受けられます。あるいは、アプリケーションとしてのJMP以外の部分にどれだけの価値があるのかを理解していないのかもしれません。Jordan氏のような、私が出したアイデアに意見を返してくれたり、グループトレーニングセッションを開いてくれたりする身近なJMPスタッフがいることは、JMPのユーザーグループが成長し、繁栄していく上で、本当に画期的なことだと思っています。
Meg: データ分析による変革を提唱することは、あなたのキャリアにどのような影響を与えたと思いますか?
Hampton氏: データと統計が好きでなかったならば、今こうして工程管理マネージャーを務めていたかどうかはわかりません。PCCの工程管理チームに加わるまで、複数のオペレーションとエンジニアリングの職務に就いていましたが、私が今の職務に落ち着くことになったのは、データとそれに基づく決定が工程の管理と改善に階段関数的な変化をもたらすことを理解していたことによると思います。それと、他の人を統計オタクに変えたいという気持ちからですね!
また、他の工場との交流、部門を超えたネットワーク作り、技術会議で他の人が抱えるデータ分析に関する課題を解決する手伝い、さらに私の工場での新しい取り組みについて発表する際にも、データ分析を重視してきた姿勢が役立っていると思います。
Meg:組織内で分析を重視する成熟したアナリティクス文化を育てようとしている人に、どのようなアドバイスをしますか?
Hampton氏: 一番大事なのは、時間をかけて勉強させることだと思います。データ分析を始めたばかりの部下がJMPのような新しいツールを使うにあたって、マネージャーは「データ分析の課題が生じれば、それについてとりあえず時間をかけて取り組んで構わない」と伝える必要があります。そうすることで、従来のやり方にしがみつかず、新たに学ぶ意欲を湧かせることができるのです。早急に対応すべき問題がある時に、導入によって速度が落ちるようなツールを皆が自然に手に取ることはありません。そのため、あえて自分が変革の仕掛け人となることで、最初は速度を落とすことになっても最終的には加速し、より前進することを目指すことが大切です。
また、データ分析に情熱を持っている人を見つけ、その人が情熱を分かち合い、周りを感化させていけるような環境を整えてあげましょう。そのような人は、データを探索し、それを実行可能な取り組みへとつなげるための新しい方法を試すため、利用可能なあらゆる機会を活用するよう他の人を鼓舞してくれます。
最後に、成功体験を共有することで、分析のベストプラクティスについて分かりきったことを、他の人が初めからやり直さないで済むようにすべきで、それにはユーザーグループのミーティング、技術ポータル、ベストプラクティスの報告書作成等が重要になります。
Meg:これからJMPを始める人へのアドバイスを伺えますか。
Hampton氏: 5つあります。
- ・JMPが提供している無料のリソースを活用してください。
- ・しばらくJMPを使わない期間が生じても身体が操作を覚えているほど、JMPを使い込んでください。
- ・頻繁に行うアクションや分析については、ツールバーをカスタマイズしてボタンを追加したり、スクリプトを使用することで、分析プラットフォームをより効率的にしましょう。
- ・分析を行う前に、必ずデータを可視化して理解しやすくしてください。
- ・周りの同僚が抱える問題に手を差し伸べましょう。それまで使い慣れてこなかったデータを探索したり、どのように答えるか今まで考えたこともなかった質問について考えたりすることで、驚くほど多くのことを学べるはずです。