STIPSを始める
「統計思考」を学べる無料講座
場所・時間を選ばず統計を学ぼう
無料オンラインコース(日本語、英語、中国語、韓国語)
課題 | 基本的な統計知識を学ぶ機会は社内にあったが、数時間の講義形式であるため参加者の理解の定着及び自ら使えるようなスキル取得が難しく、社員の統計リテラシー向上の方法を模索していた。 |
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ソリューション | オンライン統計コース「STIPS」を定期的な研修に採用。実際の業務内容に沿う内容と到達度を測る小テストが社内研修をサポート。 |
結果 | 「STIPS」で学んだ受講者が、工程データをもとにJMPで管理図を作成。データからの発見がコスト削減につながった。 |
明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクス社は、新型コロナウイルスの不活性化ワクチンの開発で知られる。先進的な医薬品の製造・開発で注目を集める同社において、近年、社内で自発的な統計ワークショップが開かれている。
このワークショップの講師を担当するKMバイオロジクス株式会社研究開発本部製品開発部専門職 栃原真二氏は、「以前から統計の勉強会は社内のあちこちでありました。ただ、参加者はその瞬間、内容を把握したつもりでいても、理解の定着となると簡単ではなかったようです」と社内統計教育の難しさを指摘する。
このような課題を踏まえ、腰を据えて地道に時間をかけて勉強した方が、長い目で見ると統計リテラシーの高い人が増えるのではないかと考えた同氏は、既に社内で導入されていたJMPと、無料オンライン統計コース「製造業における問題解決のための統計的思考 (STIPS)」(以下、「STIPS」)を活用したワークショップを始めることにした。
1人の受講者から始まったワークショップも現在は5名に増えている。当初は、分析化学に関する統計の教科書やJMP事業部で実施しているWebセミナーなど、さまざまな教材を使っていた。それらの教材を「STIPS」へ変えたのには理由がある。「STIPS」のアニメーションが受講者の理解の助けになったのと、JMPの教育用スクリプトを「STIPS」の流れに従って使っていくと、受講者の理解が非常に速くなったためだ。
教材として利用するにあたり、元来1人で学ぶためのオンラインコースである「STIPS」を講義用に使いやすくするため、栃原氏は「STIPS」をもとにスライド資料を作成し、さらに、「STIPS」に含まれる到達度を測る演習問題や小テストも活用し、受講者が利用しやすいように工夫している。
ワークショップに参加する受講者の1人である同社研究開発本部研究部の恩智達文氏は「STIPS」を使った学習について、「以前所属していた部署でJMPの実験計画法(DOE)を使った経験はありましたが、データの中身を深く理解するところまでは踏み込めていませんでした。統計的知識がなければ実験計画法により得られたデータの解釈はできません。だから、『STIPS』で学習を進めています」と述べている。最近は、栃原氏と共に分割実験などの変量効果モデル、混合モデルの理解に努めているそうである。
データを正しく解釈し、洞察を深める下地となる統計知識を持つ人財を社内でいかに育てていくかは大きな課題だ。その点について、栃原氏は「たとえば、『不偏標準偏差』とか『(平均の)標準誤差』という言葉の意味ですが、ちょっと勉強すれば分かるものです。でも実際は業務が忙しくてできていない方が多い。実験計画法などの知識も必要だが、その前に統計になじんでもらい、基本的な統計を理解する人が増えてくれば、その中から自学自習できる人財が増えるという期待がありました」と語る。
ワークショップでの学びをそこで終わらせず、実際の業務に役立てるのは理想であるが、実現が簡単ではない場合もある。その点について、ワークショップに参加している同社菊池工場菊池製造部の坂澤智子氏は、「『STIPS』は実際の製造部の業務内容に沿った形で統計が学べる点で優れていて、実際の業務ではJMPで管理図を作成する際に活用しています」と説明する。
その一例として、結果的に素晴らしい業績につながった出来事があった。昨年、同氏が担当している自社製品において、工程データをもとにJMPの「管理図ビルダー」で管理図を作成してみると、おかしなシグナルが出ていることが分かった。それについて、実感として把握している現場スタッフと、データで事実を示す同氏が情報交換して検討したところ、結果的にそれがコスト削減というかたちで改善へとつながり、社長賞を受賞することになった。
「JMPで管理図を作るようになって、作業の工数が劇的に削減できました。一番時間がかかっていたのは異常の検出です。以前はMicrosoft Excelで管理図を作成していましたが、異常の検出を人の目で実施していたため時間もかかり、間違いも生じていました。JMPなら簡単にWER(Western Electric Rule)によるテスト結果が出るため、時間を削減でき、正確さも上がったのです」(坂澤氏)
社内で統計を教える講師として後進を導く立場にある栃原氏は、統計を学ぶ人たちに向け、統計教育への想いを次のように述べた。「いま私は講師として教えていますが、私自身、何回もつまずきながら統計の理解が深まっていきました。初めは駄目でも、何回かトライするうちに分かるようになってきます。統計初心者がどこでつまずきやすいかを理解しているので、私なら、そこでつまずく受講者の手助けをできます。私が講師を続けるかぎり、統計の基本的なところを理解できる人を増やしていきたいと思っています。今はまだ非公式なワークショップですが、いずれ自分たちの活動が会社の教育の一環として、方針として認められると嬉しいです」
社内の統計リテラシーを高め、データを深く理解できる人財を増やしたいという栃原氏の想いは、少しずつ実を結びつつある。
最後に栃原氏は、今後のJMPの活用について次のように述べた。「現在は管理図の作成、実験計画法の利用がメインですが、今後は以前に取られた既存の工程データから、パーティション(決定木、回帰木)や回帰などの手法を使い、工程に対して重要な因子を見つけ出すことを実施していきたいと考えています」
もっと広く学びを続けていきたいという教える側の情熱が、これからも多くの後進を育て続けるのかもしれない。
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