今日は生産現場の不良原因究明や歩留まり改善をパティション(Pat)分析やモデルのあてはめを用いて分析します。 生産現場のデータを入手して分析を手掛ける場合には、サンプルデータや本に載っているデータを分析する場合とくらべて全く違った難しさに直面します。
第1に、データに含まれるデートコードやシリアル番号などを適切に処理する必要があります。シリアル番号を入れて分析するとこれが寄与率の高い要因になってしまうことがあります。デートコードも同様です。月・曜日・時刻などを抽出して分析することで、季節変動や経時変化を発見できることがあります。
第2に、分布が重なっていたり対称でなく偏りがあったりします。後者の場合は適切な変換によって重回帰分析のあてはまりが良くなることがあります。
第3に、現場データは往々にして非常に相関が強い因子が含まれていることがあります。そのまま重回帰分析を行うとあてはまりの悪さが有意になることがあります。多変量の相関によるスクリーニングが必要になります。
適切な前処理を行ってもパティション分析のあてはまりが良くない(分岐が進まない)ことがあります。そういう場合はモデルのあてはめ(1次)を行います。パティション分析もモデルのあてはめ(1次)もあてはまりが良くない場合は、その交差(交互作用)をモデルに加えたあてはめ(2次)を行います。パティション分析で交互作用が明らかになった場合はその交差をモデルに加えます。多変量解析の前に必ず2変量の関係を確認しますが、2変量の関係で有意になった因子が多変量解析では有意にならないことは良くあります。逆もまた起こります。
良不良判別ではMT(Mahalanobis Taguchi)法が威力を発揮することがあります。スクリーニング→外れ値を調べる、によって簡単に実行できますから選択肢の一つとして念頭に置くと良いと思います。良否条件を関係者に訴求する際にはプロファイルやPat分析の葉のレポートが便利ですが、LDFを使って可視化する方法もおすすめです。