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正のシフトδを検出する片側CUSUM管理図では、次式に基づき、t番目のサブグループの累積和を計算します。
St = max(0, St - 1+ (zt - k))
t = 1, 2,..., nの場合)。S0 = 0です。また、ztは両側CUSUM管理図の時と同じように定義され、パラメータk参照値)は正の値です。パラメータkを起動ウィンドウで指定しなかった場合、kδ/2に設定されます。このStは、上側累積和といいます。Stは、次のようにも表せます。
このため、数列Stは、μ0から標準偏差のk倍よりも大きいサブグループの偏差を累積します。Stが正の値h決定限界)を超えると、工程にシフトが生じたか、工程が管理外であると判断できます。
負のシフトを検出する片側CUSUM管理図では、次式に基づき、t番目のサブグループの累積和を計算します。
St = max(0, St - 1 - (zt + k))
t = 1, 2,..., nの場合)。S0 = 0です。また、ztは両側CUSUM管理図の時と同じように定義され、パラメータk参照値)は正の値です。パラメータkを起動ウィンドウで指定しなかった場合、kδ/2に設定されます。このStは、下側累積和といいます。Stは、次のようにも表せます。
このため、数列Stは、μ0から標準誤差のk倍よりも小さいサブグループの偏差の絶対値を累積します。
Stが正の値h決定限界)を超えると、工程にシフトが生じたか、工程が管理外であると判断できます。
Sthはともに、δが正であるか負であるかに関係なく、常に正の値です。一部の統計学者が定義した負のシフトを検出するための管理図では、Stが負の決定限界を下回った場合にシフトが発生したことを表します。
Lucas and Crosier(1982)は、高速初期応答(FIR: Fast Initial Response)について述べています。そこでは、累積和の初期値S0に開始値を設定することが述べられています。平均連長の計算を見ると、工程が管理された状態にあるときはFIRを使用してもほとんど効果がありませんが、その初期段階で管理外の状態になっている場合には、標準のCUSUM管理図よりも早く検出することができます。起動ウィンドウの「CUSUM(累積和)管理図で使用する既知の統計量」領域の「開始値」で開始値を指定できます。
サブグループの標本サイズが一定(= n)の場合は、累積和がデータと同じ単位でスケールされている方が解釈しやすい場合があります。δ > 0の場合には、データと同じ単位でスケールされている累積和は、次のように計算されます。
δ<0の場合、式は次のようになります。
どちらの場合も、パラメータkのスケールがに変更されます。起動ウィンドウにおいいてパラメータkを指定しなかった場合、k’がδ/2に設定されます。Stを超えた場合、シフトが生じたことを意味します。統計学者によっては、h'をHと表記する場合があります。