このデータ例では、3名の測定者が、同じ5個の部品を測定しています。測定値のばらつきを調べ、測定システムの精度を検証してみましょう。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Variability Data」フォルダにある「Gasket.jmp」を開きます。
2. [分析]>[品質と工程]>[測定システム分析]を選択します。
3. 「Y」に[Y, 応答変数]の役割を割り当てます。
4. 「部品」に[部品, 標本 ID]の役割を割り当てます。
5. 「測定者」に[X, グループ変数]の役割を割り当てます。
「分析方法」が[EMP]に、「ばらつき図の種類」が[範囲]に、「モデルの種類」が「交差」に設定されていることを確認してください。
6. [OK]をクリックします。
図E.2 MSAの初期レポート
「平均図」には、「測定者」と「部品」の組み合わせごとに、測定値の平均が表示されます。この例では、部品の測定値の多くの平均が、管理限界の外側になっています。これは、測定システムによって、部品間の違いを検出できていることを意味しており、望ましい結果です。
「範囲図」には、「測定者」と「部品」の組み合わせごとに、測定値のばらつきが表示されます。この例では、範囲は管理限界の範囲内です。これは望ましい結果です。測定者ごとの測定結果が似ていて、測定のばらつきも似ていることを意味するからです。
各部品の色分けについては、チャートの下に凡例があります。
7. 「Yの測定システム分析」の横の赤い三角ボタンをクリックし、[平行性図]を選択します。
図E.3 測定者と部品の平行性図
平行性図は、測定者ごとの各部品の測定値の平均を示します。この例では、折れ線はほぼ平行で、特に大きく交差していません。測定者と部品の間に交互作用はないと言えます。
ヒント: 交互作用がある場合は、重大な問題が存在する可能性があり、さらなる調査が必要です。
8. 「Yの測定システム分析」の横の赤い三角ボタンをクリックし、[EMP分析]を選択します。
図E.4 「EMP分析」レポート
「EMP分析」レポートには、測定システムの評価や等級付けに関する統計量が表示されます。「級内相関」は、測定値の総変動に対する、部品の寄与率です。
「EMP分析」レポートから、次のようなことがわかります。
• 「級内相関」が1に近いことから、測定値のばらつきのほとんどは、測定システムではなく、部品のばらつきによって生じていると言えます。
• 「等級」は「第1級」です。「第1級」の場合、工程からの信号が減衰する割合は、11%未満です。
• 「第1級」の場合、テスト1だけで、変化を検出できる確率は99%以上です。
• 「第1級」の場合、テスト1~4によって、変化を検出できる確率は100%です。
注: 管理図におけるテスト、および工程に生じた変化の検出についての詳細は、変化検出プロファイルを参照してください。
測定者と部品の間に交互作用はなく、測定によるばらつきは非常に小さいので(「等級」が「第1級」なので)、測定システムは非常に良いと言えます。