前節のTobitモデルは、ゼロで打ち切られた正規分布を仮定しています。データ値がゼロとなっている行は、左側打ち切りになっていると考えられます。前項では「非線形回帰」プラットフォームを追加しましたが、Tobitモデルは「生存時間(パラメトリック)のあてはめ」プラットフォームでもあてはめることができます。それには2つのY列によって左打ち切りであることを表します。ここでの例では、まず、先ほどのデータテーブルに対して左側打ち切りを示す新しい列を追加します。その追加する新しい列は、左側打ち切りを示すデータ行には欠測値を含み、それ以外のデータ行には「耐用期間」の観測値を含むようにします。このようにデータを作成すれば、新しく追加した列を区間打ち切りの区間の下限に、既存の「耐用期間」の列を区間の上限として使うことができます。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Reliability」フォルダにある「Tobit2.jmp」を開きます。
左側打ち切りの列の作成
2. [列]>[列の新規作成...]を選択します。
3. 「列名」に「durable0」と入力します。
4. [列プロパティ]を選択して、[計算式]をクリックします。
5. [条件付き]>[If]を選択し、「耐用期間」を選択します。
6. [比較]>[a == b]を選択してから0と入力し、Enterキーを押します。
7. 「else節」と表示されたボックスを選択し、「耐用期間」を選択します。
完成した数式は次のように表示されます。
図14.14 「durable0」の列式
8. [OK]をクリックします。
9. [OK]をクリックします。
Tobitモデルのあてはめ
10. [分析]>[信頼性/生存時間分析]>[生存時間(パラメトリック)のあてはめ]を選択します。
11. 「durable0」を選択し、[イベントまでの時間]をクリックします。
12. 「耐用期間」を選択し、[イベントまでの時間]をクリックします。
観測値が左側打ち切りであることをJMPで指定するには、2つの応答列を用いなければいけません。[イベントまでの時間]の役割には、区間打ち切りの下限の列を最初に、区間打ち切りの上限の列を最後に指定してください。
13. 「年数」と「流動性」を選択し、[追加]をクリックします。
14. 「分布」を[正規]に変更します。
15. [実行]をクリックします。
図14.15 Tobitモデルの結果
Tobitモデルの推定値がレポートに表示されます。レポートの右上に、13個の観測値が左側打ち切りになっていることが報告されています。この情報は、左側打ち切りが正しく指定されたことを確認するのに役立ちます。