「工程能力」プラットフォームでは、さまざまなツールを使って、工程が特定の仕様限界に適合しているかどうかを測定できます。デフォルトでは、正規分布を使ってあてはめた変数に対し、ゴールプロット・工程能力箱ひげ図・工程能力指数プロットが描かれます。ただし、非正規分布の工程能力指数は、工程能力指数プロットだけで描かれます。これらのグラフ以外に、正規化箱ひげ図・要約レポート・各列に対する詳細レポートを追加できます。
仕様限界は、次のような方法で指定できます。
• データテーブルにおける各列に、列プロパティを設定する
• 起動ウィンドウにおいて、仕様限界ダイアログを表示するように指定する
• 仕様限界のデータテーブルから仕様限界を読み込む
• 「仕様限界の管理」を用いる([分析]>[品質と工程]>[仕様限界の管理])
両側・片側の仕様限界や、非対称の仕様限界を指定することができます。
注: 新しい「工程能力」プラットフォームは、[分析]>[一変量の分布]および[分析]>[品質と工程]>[管理図]で実行される機能を大幅に改良しています。
工程能力指数は、仕様限界に応じた製品を生産する能力を示した指標です。工程能力指数は、品質特性の平均と標準偏差の推定値を、仕様限界に照らし合わせて計算されます。群内推定値から計算された工程能力指数(Cpk)は、群内のばらつきから推定した標準偏差に基づきます。全体推定値から計算された工程能力指数(Ppk)は、工程データ全体から推定した標準偏差に基づきます。正規分布の工程能力指数およびばらつきに関する統計量を参照してください。
平均や標準偏差の推定値は、中心やばらつきが安定している場合のみ、妥当なものになります。そのため、群内推定値から計算された工程能力指数(Cpk)は、工程のばらつきが安定していなければ解釈ができません。また、全体推定値から計算された工程能力指数(Ppk)は、工程の中心とばらつきの両方が安定していなければ解釈ができません。
また、標本サイズが小さいと、工程能力指数は標本誤差が大きいかもしれません。「工程能力」プラットフォームでは、ほとんどの工程能力指数に対して信頼区間が示されます。これらも考慮して、工程能力指数がとりうる範囲を推測してください。
注: たとえば、非正規分布の場合などは、信頼区間は算出されません。しかし、そのような場合でも、シミュレーション機能によって信頼区間を求めることができます。例については、非正規データのPpkに対する信頼限界のシミュレーションを参照してください。
工程能力指数の値に関するガイドラインは、Montgomery(2013)を参照してください。工程能力指数は、1.33以上となることが推奨されています。ただし、シックスシグマにおいては、1万あたりの不適合率が非常に小さいことを要求しており、より高い工程能力水準を目標にしています。
「工程能力分析」プラットフォームでは、正規分布、ベータ分布、指数分布、ガンマ分布、Johnson分布、対数正規分布、二重正規混合分布、三重正規混合分布、SHASH分布、Weibull分布に基づいた工程能力指数を求めることができます。[最良]オプションは、これらの確率分布の中から最良の分布を特定し、その確率分布に対して工程能力指数を計算します。このプラットフォームには、ノンパラメトリックな分布をあてはめて、そこから工程能力指数を計算する[ノンパラメトリック]オプションも用意されています。
非正規分布に対しては、分位点法(「パーセント点法」や「ISO方式」とも呼ばれる)と、Z-スコア法(「Bothe方式」とも呼ばれる)のいずれかで工程能力指数を求めることができます。これらの方法の詳細については、非正規分布の工程能力指数: パーセント点法とZ-スコア法を参照してください。
注: 工程能力分析は、[分析]>[品質と工程]>[管理図ビルダー]においても用意されています。ただし、非正規分布は、「工程能力」プラットフォームでしか使用できません。
「工程能力」プラットフォームでは、正規分布に基づく工程能力指数は、長期的に計算されたばらつきの推定値(全体シグマ)、および、短期的に計算されたばらつきの推定値(群内シグマ)のいずれでも計算できます。工程が安定していれば、長期的に見たときのばらつきと、短期的に見たときのばらつきは似たようなものであり、全体シグマと群内シグマは同じような値になるはずです。正規化箱ひげ図や要約レポートも、全体シグマと群内シグマのいずれに基づいても計算できます。安定した工程および不安定な工程で計算される工程能力指数の例については、「工程能力」プラットフォームの別例を参照してください。
群内シグマを推定するには、起動ウィンドウでサブグループを指定します。それには、サブグループを定義する列を指定するか、または、[一定のサブグループサイズ]を選択します。いずれの選択でも、群内シグマは、標準偏差の平均によって、または、範囲の平均によって計算される、母標準偏差の不偏推定値です。サブグループを指定しなかった場合、サイズ2のサブグループの移動範囲を使用して、群内シグマは推定されます。なお、これらの方法ではなくて、「履歴シグマ」(過去の工程データから得られた標準偏差の推定値)も指定できます。
「工程能力」プラットフォームでは、次の2種類の工程能力指数を計算できます。工程能力指数の計算の詳細については、正規分布の工程能力指数を参照してください。
• Cpk, Cpl, Cpu, Cp, Cpm。これらの指数は、群内シグマ(短期における標準偏差の推定値)に基づきます。
• Ppk, Ppl, Ppu, Pp, Cpm。これらの指数は、全体シグマ(長期における標準偏差の推定値)に基づきます。全体シグマは、工程が安定した状態でないと解釈できません。Montgomery(2013)を参照してください。
「工程能力分析」プラットフォームは、適切なAIAG表記法によって工程能力指数を示します。すなわち、「Ppk」は、全体シグマから算出された指標を示します。一方、「Cpk」は、群内シグマから算出された指標を示します。
注: [AIAG (Ppk)ラベル]のプラットフォームの環境設定は、デフォルトで選択されています。レポートをCp表記法で表示したい場合は、「工程能力」の下でこの環境設定の選択を解除します。