「平均連長(ARL)」レポートには、ARL値に関する表が含まれています。平均連長(ARL;Average Run Length)は、決定限界外となるまでの連の平均的な長さです。たとえば、シフト0に対するARLは、工程が統計的管理状態になっているときに、決定限界外となるまでの連の平均的な長さです。工程が統計的管理状態にある場合は、シフトは生じていないので、シフトの大きさは0です。
Lambdaパラメータのさまざまな設定が、EWMA管理図の性能にどのような影響を与えるかを、ARLレポートのテーブルやグラフで調べられます。また、EWMA管理図の性能を、EWMA管理図レポートのX管理図などShewhart管理図と比較することもできます。Lambdaが1に設定されている場合、Shewhart ARL列はEWMA ARL列と等価です。
0の位置にあるEWMA ARLの値は、[一定の仕様限界]オプションの設定に依存します。
• [一定の仕様限界]オプションが選択されている場合、工程は開始値の効果が無視できるくらい長期間管理されているものと仮定されます。この状況はEWMA管理図の定常状態(steady state)とも呼ばれ、EWMA ARL(0)の値の計算にはCrowder (1987)で説明されている方法が使われます。
• [一定の仕様限界]オプションが選択されていない場合、EWMA ARL(0)の値の計算には、Knoth (2004)で説明されている方法が使われます。この状況はEWMA管理図のゼロ状態(zero state)とも呼ばれます。
ARLレポートには、0から3まで0.25刻みでシフトに対する平均連長(D)が示されています。シフトは2*k/Sigmaで表されます。kは管理図で使用されるSigmaの乗数です。表には、EWMA管理図とShewhart管理図のARL値が含まれています。
ARLグラフは、0から3までの間のシフト(D)に対する平均連長を描いています。このグラフは、グラフ左側に示されているARL表の数値をプロットしたものです。実線はEWMAのARL値、破線はShewhartのARL値を示します。