この例では「Color Preference Survey.jmp」サンプルデータを使用します。このデータには、好きな色の質問に対する回答が含まれています。「カテゴリカル」プラットフォームでは、さまざまな種類の質問データを扱えます。
• 単一選択型の質問に対する回答を集計
• 選択肢が同じ3つの質問に対する回答を集計(選択肢は、Likert尺度である5段階評定)
• 多重応答(複数回答)を集計
• 単一選択型質問に対する回答を、グループ別に集計
「カテゴリカル」プラットフォームの起動ウィンドウで上記4つの分析(各分析につき1つずつ)を設定します。上記4つの分析を、起動ウィンドウの各タブにて、一度に1ずつ指定していきます。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Color Preference Survey.jmp」を開きます。
2. [分析]>[消費者調査]>[カテゴリカル]を選択します。
3. 「一番好きな色はどれですか?(1つ選んでください)」を選択し、[応答]をクリックします。
4. 「性別を教えてください。」を選択し、[X, グループ化カテゴリ]をクリックします。
メモ: 性別ごとの好きな色を分析するだけの場合は、ここで[OK]をクリックします。
図3.2 [単純]タブの設定が完了した「カテゴリカル」プラットフォームの起動ウィンドウ
5. [関連]タブを選択します。
6. 「青が好きだ。」から「オレンジが好きだ。」までを選択し、[共通の値をもつ応答]をクリックします。
この設定により、同じ選択肢をもつこれら3つの質問が、一緒に分析されます。なお、この「共通の値をもつ応答」の分析でも、先ほどの設定により、男女ごとにグループ化されて集計されます。
7. [多重]タブを選択します。
8. 「赤: 好きな色はどれですか?(好きな色をすべて選んでください)」から「どれも好きでない: 好きな色は何ですか?(好きな色をすべて選んでください)」までを選択し、[多重応答]をクリックします。
これらは、「好きな色はどれですか」という質問に対する多重応答(複数回答)のデータです。データテーブルでは、応答ごとに(色ごとに)1つの列が用意されています。なお、この「共通の値をもつ応答」の分析でも、先ほどの設定により、男女ごとにグループ化されて集計されます。
9. [表の構成]タブを選択します。
10. 「一番好きな色はどれですか?(1つ選んでください)」を「横側」にある緑の矢印にドラッグし、「年齢を教えてください。」を「上側」にある緑の矢印にドラッグします。
図3.3 「カテゴリカル」プラットフォームの起動ウィンドウにおける[表の構成]タブ
11. [追加]をクリックします。
なお、この「表の構成」の分析では、[X, グループ化カテゴリ]の役割に指定されている「性別を教えてください。」列は使われません。
ヒント: [表の構成]タブにある緑の矢印をクリックすると、列の一覧が表示されます。その一覧から列名をクリックすることによっても、列を表に追加できます。上にある下向き矢印または横にある右向き矢印を使用すると、複数の列を入れ子にできます。
図3.4 例の設定が完了した起動ウィンドウ
12. [OK]をクリックします。
各分析の結果は、1つのレポート内で縦に積み重ねられます。
最初のレポートでは、「一番好きな色はどれですか?」という質問に対する回答が、性別ごとに集計されています。各回答者に、色の一覧(赤・青・緑・オレンジ・黄・ピンク・紫・どれもすきでない)から好きな色を1つだけを選ぶように尋ねました。
図3.5 単純応答: 性別ごとの一番好きな色
この分析では、どちらの性別でも、青が一番好きな色である割合が多いことを示しています。男性の回答者43人のうち19人が青を選んでいます。これは19/43、つまり44.2%のシェアになっています。女性の回答者では、37人のうち11人(度数)、つまり29.7%(シェア)が青を選んでいます。
ヒント: データテーブルの列に対して「値の色」列プロパティを指定することにより帯グラフの色を定義できます。『JMPの使用法』の値の色を参照してください。
2番目のレポートには、ある特定の色をどのくらい好きかを尋ねた、3つの類似した質問に対する回答が集計されています。これらの質問では、「Strongly agree(強くそう思う)」から「Strongly disagree(まったくそう思わない)」までの、まったく同じ尺度が使われているため、集計する際に各応答を1つの同じ列に揃えることができます。
図3.6 共通の値をもつ応答: 性別ごとの色の評定
この分析は、男性と女性の両方で、全体的に見れば、青に対する評価が高いことを示しています。オレンジは、赤や青に比べ、どちらの性別でも中間的な回答が多くなっています。なお、この例でのシェアチャートの色は、「値の色」列プロパティで指定されています。
メモ: 共通の値をもつ回答を[単純]タブを使って分析した場合は、[関連]タブと同じ情報を含む結果になりますが、3つの別々のレポートとなります。[関連]タブを使用すると、1つのレポートに結果が並べられて表示されるため、比較しやすくなります。
3番目のレポートには、性別ごとに集計された多重応答(複数回答)の結果が表示されます。この多重応答に対する質問は、「好きな色は何ですか?(好きな色をすべて選んでください)」です。データテーブルでは、各応答(特定の1つの色)が、それぞれ1つの列になっています。そして、回答者がその色を選んだ場合には、その該当の列に値が入力されています。回答者がその色を選ばなかった場合は、空になっています。
図3.7 多重応答: 性別ごとの好きな色
集計結果を見ると、男性と女性の両方で、青や緑を好きな色として挙げている割合が高いことがわかります。また、女性は男性に比べ、ピンクや紫を好きな色に挙げている割合が高いです。
多重応答(複数回答)の質問では、回答を2つ以上、選択することができます。1ケースは1人の回答者を表しているため、「全ケース数」は回答者の合計人数を意味します。このデータでは、女性37名、男性43名となっています。「応答している全ケース数」は、何かしらの応答を1つ以上選択した回答者の人数です(この多重回答の例では、全員が何かしらの1つ以上の回答をしています)。
「応答の合計数」には、選択された応答(回答選択肢)の合計数が示されます。女性においては、37人の女性によって146個の色が選択されています。男性においては、43人の男性によって180個の色が選択されています。クロス表には、各色を選択した回答者の人数、「シェア」(「応答の合計数」に対するパーセント)、および「ケース」(「全ケース数」に対するパーセント)が示されます。
最後のレポートには、[表の構成]タブでの指定に基づいて作成された表が表示されます。この表では、年齢層ごとに一番好きな色が集計されています。この表では、表の行が応答となっており、表の列がグループ変数となっています。
図3.8 表の構成: 年齢別の一番好きな色
10~19歳の年齢層には、一番好きな色がピンクであると答えた回答者が2人います。その他の年齢層には、一番好きな色がピンクであると答えた回答者はいません。クロス表の一番下の行を見ると、各年齢層の回答者の数が少ないことがわかります。年齢層別の一番好きな色について結論を導き出すには、さらに多くのデータを集める必要があるでしょう。