「非線形計画」プラットフォームを使用すれば、パラメータに関して非線形であるモデルをあてはめる計画を作成できます。非線形なモデルに対して、最適計画を作成したり、実験を最適に追加したりできます。工程の振る舞いが非線形な関係であり、その関係を記述するモデル式が分かっているならば、単純な多項式モデルを使うよりも、非線形モデルを用いた方が、モデルパラメータをより精確に推定し、精度の良い予測を行うことができます。非線形モデルの背景については、非線形モデルを参照してください。
非線形モデルにおける計画の効率は、推定しようとする未知のパラメータ値に依存します。それに対処するため、JMPではBayes流の方法を使用し、パラメータが取りうる値において効率的な計画を作成します。未知のパラメータが取りうる範囲に関して、事前分布を指定できます。事前分布として、一様分布・正規分布・対数正規分布・指数分布を選択できます。
「非線形計画」プラットフォームでは、パラメータ値がどれぐらいなのかを示す事前分布に基づき、Bayes流の方法に従って計画を最適化します。Bayes流のD-最適化基準は、パラメータの事前分布に基づいて計算された、情報量行列の行列式の対数の、期待値です。情報量行列は、各計画点での予測分散に依存します。予測分散が小さい計画点からは、情報量はほとんど影響を受けません。そのため、最適計画では、予測分散が大きい個所に計画点を配置する傾向があります。詳細については、Gotwalt et al.(2009)を参照してください。
最適計画の基本的なアイデアは、予測分散が最も大きくなっている位置に計画点を配置することです。これは直観に反しているようですが、もし、他の場所に点を配置すると、予測分散が大きくなっている位置での予測分散はさらに大きいものになってしまうでしょう。線形モデルにおいては、予測分散が大きくなる計画点は実験領域の端点(頂点)に位置する傾向があります。しかし、パラメータに関して非線形なモデルでは、必ずしもそうではありません。
メモ: 非線形計画は、無作為に選んだ計画を開始点として探索されます。そのため、同じ設定を使用しても、通常は異なった非線形計画が作成されます。
「非線形計画」プラットフォームを使用するには、モデルを計算式として含んだデータテーブルが事前に必要です。そのデータテーブルは、次の条件をすべて満たしている必要があります。
• 応答の列がある。
• 各因子に1ずつ列がある。
• 因子と応答の関係を表す計算式を含んだ列がある。また、この計算式には、未知のパラメータが含まれている必要があります。
メモ: これは、「非線形回帰」プラットフォームで使用するデータテーブルと同じ形式です。
次の2つのいずれかの形式で、このデータテーブルを用意してください。
• 1行もなく、列のみを含むデータテーブル。事前データなしで非線形計画を作成するを参照してください。
• 説明変数の値をもつ行を含んだデータテーブル。この場合、それらの説明変数の値が非線形計画に含まれます。事前データを使って計画を拡張するを参照してください。