因子分析は、観測された多変量データを、観測されない少数の潜在変数でモデル化します。これらの因子は、観測変数間の相関や共分散を説明するために構成されます。また、探索的因子分析においては、因子負荷量を解釈しやすくするために「回転(rotation)」という操作を行います。
X1、X2、…、X10という10個の観測変数があるとしましょう。この10個の変数を、F1とF2の2つの潜在変数で説明したいと仮定します。ここでは説明を簡単にするため、因子は互いに相関がないものとします。なお、モデルを識別するため、通常、各因子は平均が0で、分散が1と仮定されます。求めたいモデルは、次のような式です。
このとき観測変数の分散は、Var(Xi) = bi12 + bi22 + Var(ei)となります。Xiの分散のうち、因子に寄与する部分(これを共通分散あるいは「共通性」と言います)はbi12 + bi22です。残りの分散、 Var(ei) は「独自分散」あるいは「独自性」と呼ばれているものであり、Xi 固有の特殊な要因や誤差要因によってもたらされる変動とみなされます。
このプラットフォームでは、相関行列または共分散行列の固有値のスクリープロットが作成されます。このプロットは、抽出する因子の数を特定するための指針となります。プラットフォームのデフォルトの因子数は、1を超える固有値の個数です。
手法のオプションとしては、「主軸法」と「最尤法」の2つがあります。それぞれの変数に対して、共通因子で説明される分散の割合を推定するための事前共通性オプションが2つあります。ここで[主成分分析]オプションを選択したときには、相関行列の対角要素に1が設定されます。一方、「共通因子分析」オプションを選択したときは、相関行列の対角要素に多重相関の2乗(SMC; Squared Multiple Correlation)が設定されます。多重相関の2乗は、他の変数とどれぐらいバラツキを共有しているかを表す統計量です。
なお、探索的因子分析では、因子負荷量を解釈しやすくするために「回転」と呼ばれている操作が行われます。「因子分析」プラットフォームには、直交回転や斜交回転のさまざまな回転方法が用意されています。
主成分分析は観測変数の線形結合により合成変数を作る手法ですが、因子分析は観測変数を潜在変数によって説明する統計モデルを仮定する手法です。詳細については、主成分分析を参照してください。
因子分析の詳細は、Jöreskog(1977)またはCudeck and MacCallum(2007)を参照してください。