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公開日: 11/25/2021

対数線形分散モデルの概要

対数線形分散モデルは、線形モデルによって分散をモデル化する方法です。Harvey(1976)、Cook and Weisberg(1983)、Aitken(1987)、およびCarroll and Ruppert(1988)を参照してください。応答の平均を説明変数によってモデル化するのと同時に、分散の対数もモデル化します。

平均モデル: E(y) = Xβ

分散モデル: log(Var(y)) = Z λ

または

Var(y) = exp(Z λ)

ここで、Xは平均に対する説明変数、Zは分散に対する説明変数です。βは通常の線形モデルのパラメータで、λは分散モデルのパラメータです。

対数線形分散モデルは、REMLを使って推定されます。

JMPでは、このような分散(ばらつき)に対する効果を、「対数分散効果」と呼んでいます。このようなモデル化は、JMPでは、「モデルのあてはめ」プラットフォームの「対数線形-分散」手法で行えます。

ばらつきの効果

ばらつきをモデル化する手法は、統計学の文献で広く扱われているテーマではありませんが、タグチメソッドとの関連で言及されることがあります。静特性の望目特性に対するタグチメソッドでは、ばらつきをモデル化するのに、まず、外側配置の設定ごとに、複数の実験を行い、データを取得します。そして、外側配置の設定ごとに、データから指標を計算します。計算された指標は、外側配置の各設定における、目標値からのばらつきを表します。しかし、この方法では、2つの計画の完全な直積である特殊な計画が必要になります。この章で紹介する方法は、より柔軟な、モデルに合わせたアプローチが特長です。ばらつきをモデル化するためにタグチ計画で推奨している性能統計量は、STD = -log(s)です。JMPで使用する方法では、log(s2)に対するモデルを、平均に対するモデルと組み合わせます。log(s2)=2 log(s)ですので、2つのモデルは基本的には等価です。

モデルの指定

対数分散効果を指定するには、「モデルのあてはめ」ダイアログボックスで効果を強調表示し、[属性]メニューから[対数分散効果]を選択します。効果名の後ろに「&対数分散」がつきます。この属性を指定すると、あてはめの「手法」が自動的に[対数線形-分散]に変わります。応答の平均と分散の両方に対して使用したい効果は、1回は[対数分散効果]として、もう1回はそのままで、計2回指定する必要があります。

対数分散効果として指定した効果はモデルのZ、その他の効果はモデルのXになります。

メモ

平均に対するモデルでは、1つのパラメータを推定するのに最低必要な観測(オブザベーション)は1つです(ただし、多い方がよいです)。しかし、分散パラメータの推定で妥当な結果を得るためには、分散パラメータごとに、より多くの標本サイズが必要になります。分散の推定には、平均の推定より多くのデータが必要です。

対数線形分散モデルは、これまで統計学の文献で扱われることが少ない手法でしたが、ばらつきの効果をモデル化するのに非常に柔軟な方法であることから、より高く評価されるべきモデルだといえます。

より詳細な情報が必要な場合や、質問があるときは、JMPユーザーコミュニティで答えを見つけましょう (community.jmp.com).