この節では、1つのパラメータに対する検定の検出力について説明します。次のような表記を使用します。
X
計画行列(デザイン行列)。名義尺度効果のコード変換については、『基本的な回帰モデル』の名義尺度効果のコード変換を参照してください。また、モデル行列も参照してください。
メモ: 計画行列を表示するには、[モデルのあてはめ]を実行します。その後、レポートの赤い三角ボタンのメニューから[列の保存]>[コーディングのテーブルを保存]を選択します。
βι
調べたい項に対応するパラメータ。
最小2乗法で求めたβiの推定値。
「係数の予想値」の値。2水準の名義変数である場合、その平均の差はとなります。
の分散は、のi番目の対角要素で与えられます。ここで、σ2は誤差分散です。のi番目の対角要素をとします。
誤差分散のσ2は、平均2乗誤差(MSE; Mean Squared Error)によって推定され、その自由度はn − p − 1です。ここで、nは標本サイズ、pは切片を除くモデル項の数です。n − p − 1 = 0の場合、誤差の自由度は1に設定されます。自由度を0に設定することにより、飽和計画でもパラメータに対する検出力を算出します。
の検定に対する検定統計量であるt値は、次のようになります。
これは次のようなF値による検定と等価です。
帰無仮説の下では、検定統計量F0は、分子自由度が1で、分母自由度がn − p − 1のF分布に従います。
もしの真値がである場合、F0は次のような非心パラメータを持つ非心F分布に従います。
検定の検出力を求めるには、まず、次に示す有意水準の等式を満たす棄却値Fcを求めます。
そして、次式で検出力を計算します。