この例では、EWMA管理図にサブグループの点と限界を重ねたグラフを作成します。これにより、EWMAの点をサブグループの点のコンテキストで調べることができます。この例で使用されるデータテーブルには、マグネットクエンチ発生時の温度のシミュレートした観測値が含まれています。マグネットクエンチは、超電導コイルの一部が抵抗状態になり、温度が上昇することで発生します。そうなると、核融合炉の格納容器が危険にさらされます。破裂を防ぐためには、磁石への通電を即座に停止させることが必要です。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Quality Control」フォルダにある「Quench.jmp」を開きます。
2. [分析]>[品質と工程]>[管理図]>[EWMA管理図]を選択します。
3. [温度]を[Y]に指定します。
4. 「タイムスタンプ」を選択して、[サブグループ]をクリックします。
5. [OK]をクリックします。
6. 「EWMA管理図」の赤い三角ボタンをクリックして、[限界を超えた点のテスト]を選択します。
図11.6 限界の外にある点が強調表示されたEWMA管理図
EWMA管理図では3つの観測値が限界の外にあり、X管理図では1つの観測値が限界の外にあることに注意してください。限界の外にある観測値は赤い円で示されています。EWMA管理図の紫色の縦線は、午前1時16分頃に上方にシフトしたことを示します。
7. 「EWMA管理図」の赤い三角ボタンをクリックして、[管理図の重ね合わせ]を選択します。
デフォルトでは、X管理図の限界線は、重ね合わせた管理図に表示されません。そのため、重ね合わせた管理図のXの限界線の表示をオンにしないと、Xの限界の外にある観測値は円で囲まれません。
8. 「EWMA管理図」の赤い三角ボタンをクリックして、[重ね合わせた管理図にXの限界線を表示]を選択します。
図11.7 X管理図を重ね合わせたEWMA管理図
上の図の実線と丸いマーカーは、EWMA管理図の限界と点を表しています。破線と×マーカーは、Xマーカーの限界と点を表しています。EWMAの限界とXの限界の外にある観測値は、まだ円で囲まれていることに注意してください。
9. 「EWMA管理図」の赤い三角ボタンをクリックして、[一定の管理限界]を選択します。
図11.8 一定の管理限界が設定されているEWMA管理図
データの期間が非常に長いため、漸近限界が元のEWMAの限界と異なるのは最初の数個のサブグループのみです。このような場合、EWMAの限界の代わりに一定(漸近)の管理限界を使用することもできます。