「計画の評価」プラットフォームを使って、2乗項が強く影響している場合にそれらを検出できるかどうかを調べましょう。
本節の例では、抽出工程の歩留りに対する効果を調べた、6因子の決定的スクリーニング計画を用います。ここで用いるデータは、「Design Experiment」フォルダの「Extraction Data.jmp」データテーブルに保存されています。決定的スクリーニング計画では、各因子は3水準になっています。決定的スクリーニング計画を参照してください。
ここでの目的は、2乗項が強い効果をもっている場合に、その効果を検出できるかどうかを求めることです。ここでは、誤差分散の3倍以上の大きさを持つ効果を、「強い効果」とみなします。
実験では6因子が使われますが、「効果の希薄性」(effect sparsity)が成り立っているとすると、そのうちごく一部のみしか効果がないと考えられます。その場合、より少ない因子のモデルで検出力を調べたほうが良いでしょう。ここでは、過去の調査から、「プロパノール」・「ブタノール」・「pH」の3因子が、無視できるほど小さい主効果しかないこと、他の因子との交互作用がないこと、2乗効果を持たないことを示唆する強い証拠を得ているとします。そして、「メタノール」・「エタノール」・「時間」のみの主効果・交互作用・2乗効果をモデルに含めるのが適切と考えます。3因子だけの応答曲面モデルに基づいて検出力を求めることにしましょう。
「計画の評価」プラットフォームを使って、「メタノール」・「エタノール」・「時間」の2乗項が強く影響している場合、それらを検出できるかどうかを調べましょう。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Design Experiment」フォルダの「Extraction Data.jmp」を開きます。
2. [実験計画(DOE)]>[計画の診断]>[計画の評価]を選択します。
3. 「メタノール」・「エタノール」・「時間」を選択し、[X, 説明変数]をクリックします。
必要に応じて「収率」を[Y, 応答変数]として追加します。ただし、応答を指定してもしなくても、計画の評価結果は同じです。
4. [OK]をクリックします。
5. 「モデル」セクション [RSM]をクリックします。
3因子に関して、それらの交互作用と2乗項が追加されます。
6. 「検出力分析」セクションを開きます。
「RMSEの予想値」はデフォルトで1に設定されています。過去の調査から「RMSEの予想値」が手元にあったとしても、この例ではそれを指定する必要はありません。なぜなら、ここでは「検出力を求めたい効果の大きさは、誤差分散の3倍である」と想定するからです。
7. 「係数の予想値」で「メタノール*メタノール」・「エタノール*エタノール」・「時間*時間」の隣に「3」と入力します。
8. [係数の予想値に基づき変更]をクリックします。
図16.9 係数に変更を加えた後の「検出力分析」セクション
誤差分散の3倍の大きさを持つ2乗効果を検出する検出力は、0.737です。これは、モデルが3因子の応答曲面であることを前提としています。また、検定の有意水準は0.05と仮定しています。