「変動性図」プラットフォームを使用して、新しい測定システムのバイアスと直線性を評価します。測定システムが使われる工程から、実際の製品のばらつきに従っている5つの部品を抽出しました。まず、基準値を決めるために、各部品をケガキ検査で測定しました。そして、主任オペレータが各部品を12回測定しました。なお、部品は、測定するその日に無作為に抽出されました。
[バイアスレポート]オプションを使用して、全体の測定バイアスと個々の測定バイアスを調べます。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Variability Data」フォルダにある「MSALinearity.jmp」を開きます。
2. [分析]>[品質と工程]>[計量値/計数値ゲージチャート]を選択します。
3. 「チャートの種類」で[計量値]を選択します。
4. シグマに対する乗数の値が6であることを確認します。
5. 「応答」を選択し、[Y, 応答変数]をクリックします。
6. 「基準」を選択し、[基準]をクリックします。
7. 「部品」を選択し、[X, グループ変数]をクリックします。
8. [OK]をクリックします。
9. 応答の計量値用ゲージ分析の赤い三角ボタンをクリックし、[ゲージ分析]>[バイアスレポート]を選択します。
図6.11 「測定バイアス」レポート
測定値ごとにバイアス(「応答」 - 「基準」)が計算されます。「全体の測定バイアス」レポートには、バイアスのヒストグラムと、平均バイアスが0であるかどうかのt検定が表示されます。「平均バイアス」はちょうどぴったり0ではなく、‐0.0533になっています。ただし、95%信頼区間(‐0.1152, 0.0085)にゼロが含まれるため、「平均バイアス」とゼロとの間には、有意水準5%で統計的有意差は見られません。また、p値が0.05より大きいことからも、「平均バイアス」と0との間には有意水準5%で統計的有意差が見られないことが分かります。
「基準ごとの測定バイアス」には、各部品の平均バイアスが表示されます。グラフには、各部品の平均バイアスの他に実際のバイアスの値もプロットされているので、広がりがわかります。この例では、部品番号1(基準値2)は高い方向に、部品番号4と5(基準値8, 10)は低い方向にバイアスが生じています。
ヒント: バイアスの信頼区間を表示するには、表を右クリックして[列]>[下側95%]と[列]>[上側95%]を選択します。
[直線性]オプションを使用して、部品の大きさと、オペレータの測定バイアスとの間に有意な関係があるかどうかを判定します。まず、「履歴 工程シグマ」を指定する必要があります。
1. 応答の計量値用ゲージ分析の赤い三角ボタンをクリックし、[ゲージ分析]>[測定システム分析のメタデータの編集]を選択します。
2. 「測定システム分析のメタデータの編集」ウィンドウにて、「履歴 工程シグマ」の値として2.488105を入力します。ここには工程の標準偏差を指定します。ここで指定した「履歴 工程シグマ」が、工程変動として使用されます。
3. [OK]をクリックします。
4. 応答の計量値用ゲージ分析の赤い三角ボタンをクリックし、[ゲージ分析]>[直線性]を選択します。
図6.12 直線性
次のことを注意してください。
• 傾きは-0.131667です。この値は、グラフの下に表示されている回帰式と、3番目の表から知ることができます。
• 傾きに対するt検定のp値はかなり小さくなっています(p < 0.0001)。この検定は、バイアスが基準値とともに変化するかどうかを評価します。
p値が小さいため、部品の大きさと、オペレータの測定バイアスとの間には有意な直線関係があると結論できます。この関係はグラフでも確認できます。基準値が小さいと高い方向に測定バイアスが生じ、逆に、基準値が大きいと低い方向にバイアスが生じています。