「二変量」プラットフォームの[Passing Bablokのあてはめ]オプションは、Passing-Bablok手法を使って回帰モデルをあてはめます。Passing-Bablok回帰は、同じ対象を2つの異なる測定方法で測定した場合に、それら2つの測定方法を比較する目的で開発されました。この手法は、2つの変数の間の関係は1次式であり、かつ、強い相関があると仮定しています。散布図に、あてはめ線とY = Xの点線が追加されます。「Passing-Bablokのあてはめ」の赤い三角ボタンのメニューにある[Bland Altman分析]オプションは、対応のあるt検定およびBland-Altman分析を行います。
「Passing-Bablokのあてはめ」レポートは、3つの表で構成されます。
Kendallのtを使ってX変数とY変数の間の相関を評価します。
X
X変数。
Y
Y変数。
Kendallのτ
X変数とY変数の相関を示すノンパラメトリックな指標。-1~1の値を取り、0に近い値は、X変数とY変数が独立であることを示唆します。
p値(Prob>|t|)
「X変数とY変数は独立である」という帰無仮説に対する仮説検定のp値。小さいp値は、X変数とY変数は独立ではないことを示唆しています。独立でない場合にのみ、Passing-Bablok法は適しています。
「直線性の累積和検定」表は、直線性の検定結果をまとめたものです。p値が小さい場合、直線性の帰無仮説は棄却されます。Passing-Bablok回帰は直線性を仮定しているので、直線性の帰無仮説が棄却された場合、Passing-Bablok回帰が適さないことを示唆します。
最大累積和
各点からPassing-Bablok回帰直線までの垂直距離に応じて並べられたとの値の累積和の最大絶対値。Iは、正の残差を持つ観測の個数、Lは、負の残差を持つ観測の個数です。また、プラスとマイナスのいずれにするかは、残差の符号で決められます。手法間に強い相関がある場合、IとLは等しくなります。そのため、多くの場合、累積和は+1と-1の和になります。最大累積和の値が小さいときは、Passing-Bablok回帰直線の上側と下側に均等に点が散らばっていることを示し、直線性の仮説が支持されます。
H
累積和検定の検定統計量。この検定統計量は、最大累積和を、残差が負になっている観測数に1を足した値の平方根で割ったものです。この検定統計量は、Kolmogorov-Smirnov分布に従います。
p値(Prob > H)
累積和検定のp値。小さいp値は、Passing-Bablok法が適切でない可能性を示唆します。
「パラメータ推定値」表には、Passing-Bablok法による切片と傾きの推定値、およびその95%信頼区間が表示されます。
「Passing-Bablokのあてはめ」の赤い三角ボタンのメニューにある[Bland Altman分析]オプションは、対応のあるt検定とBland-Altman分析を行います。対応のあるペアの詳細については、『予測モデルおよび発展的なモデル』の対応のあるペア分析を参照してください。
「Bland-Altman分析」表には、次の「値」・「標準偏差」・「信頼限界」が表示されます。
バイアス
X変数とY変数の差。「値」には差の平均が、「標準偏差」には差の標準偏差が表示されます。
許容範囲の限界
許容範囲(limits of agreement)の上限と下限です。これは、「差の平均」 ± z1-α/2×「差の標準偏差」です。