「因子分析」プラットフォームでは、回転を使用することにより、因子を解釈しやすくなります。回転は、はじめに抽出された因子の因子負荷量に対して適用されます。回転は、因子負荷量の複雑性(complexity)や単純性(simplicity)を表す基準を最適化するように実行されます。回転の基準には様々なものがあります。回転の詳細は、SAS Institute Inc.(2020c)の「FACTOR Procedure」章、Browne(2001)、Frank、Todeschini(1994)を参照してください。
はじめに抽出された因子においては、因子間相関はゼロとなっています。また、直交回転を適用した場合は、回転した後も、因子間相関がゼロのままです。一方、斜交回転は、回転後の因子間に相関を許します。斜交回転では、直交回転よりも解釈しやすい因子が見つかることがよくあります。しかし、因子間に相関を許すと、統計的な性質が複雑になります。各因子が変数に与えている大きさを、因子負荷量だけでは判断できなくなるからです。
Varimax
「因子負荷量の2乗」の分散を因子ごとに計算し、その合計が最大になるよう因子負荷量を求めます。Varimaxは直交回転としてよく使われている回転方法です。因子負荷量の絶対値が小さな値か大きな値のいずれかになる傾向があります。(Orthomax (g = 1))。
Biquartimax
Varimax基準とQuartimax基準のちょうど中間の基準を用いた回転方法です。結果も、Varimax回転とQuartimax回転との中間的なものになります。(Orthomax (g = 0.5))。
Equamax
Varimax基準とQuartimax基準を重み付けて組み合わせた基準を最適化する回転方法です。
(g = N/2のOrthomax回転。ここで、N = 因子数)。
Factorparsimax
各因子での複雑性を最小化することを目的とする回転方法です。この回転方法の基準では各観測変数での複雑性が考慮されないため、ある観測変数における因子負荷量が複数の因子に渡って同じような大きさに等しくなるかもしれません。(g = NのOrthomax回転。ここで、N = 因子数)。
Orthomax
いくつかの直交回転を内包する一般的な基準です。重みgによって基準が決められます。よく使われている直交回転の多くは、重みgに該当の定数を設定したときのOrthomax回転になっています。
Parsimax
各観測変数における複雑性と各因子における複雑性の両方を組み合わせた基準を最適化する回転方法です。(g = (I(N-1))/(I+N-2)のOrthomax回転。ここで、I = 項目数、N = 因子数)。
Quartimax
各観測変数に影響している因子の個数を最小化するような基準を用いています。(Orthomax (g = 1))。
Biquartimin
Covarimin基準とQuartimin基準のちょうど中間の基準を用いた回転方法です(t = 0.5のOblimin回転)。
Covarimin
異なる因子間において「因子負荷量の2乗」の共分散を求め、その和を最小化する斜交回転。この基準は、直交回転においてはVarimax基準と等価。(t = 1のOblimin法)。
Obbiquartimax
Biquartimax基準に基づく斜交回転。
Obequamax
Equamax基準に基づく斜交回転。
Obfactorparsimax
Parsimax基準に基づく斜光回転。
Oblimin
いくつかの斜交回転を内包する一般的な基準です。重みtによって基準が決められます。よく使われている斜交回転の多くは、重みtに該当の定数を設定したときのOblimin回転になっています。
Obparsimax
Parsimax基準に基づく斜交回転。
Obquartimax
Quartimax基準に基づく斜交回転。Quartimin法と同等。
Obvarimax
Varimax基準に基づく斜交回転。
Quartimin
Quartimin基準に基づく斜交回転。Obquartimax(t = 0のOblimin法)と同等。
Promax
まず、単純構造を得るためにVarimax回転が使われ、そこで求めた因子負荷量に近くなるようにProcrustes回転が適用されます。Oblimin法よりも計算が複雑ではありません。