ここでは、「工程能力」プラットフォームで非正規分布の工程能力指数を計算するために使用される2つの方法について説明します。それらは、パーセント点法(ISO/分位点法)と、Z-スコア法(Bothe/Z-スコア法)です。非正規分布に対しては、何らかのパラメトリックな分布を推定するか、ノンパラメトリックに分布を推定するか、いずれかを行えます。その場合の工程能力指数は、パーセント点法とZ-スコア法のいずれかで計算できます。ただし、膨大な量のデータがない限り、ノンパラメトリックな推定では分布の裾における振る舞いを正確に推定できない傾向があります。
メモ: 確率分布として正規分布を仮定した場合には、パーセント点法とZ-スコア法のいずれの工程能力指数の計算式も、正規性を仮定したときの計算式と一致します。
この2つの手法の説明において、次の記号を使用します。
LSL = 下側仕様限界
USL = 上側仕様限界
T = 目標値
パーセント点法は、標準的な工程能力指数の計算式における平均を、あてはめた分布の中央値(メディアン)に置き換えます。また、6sの範囲を、それに対応するパーセント点の範囲に置き換えます。この手法は、AIAG(2005)で取り上げられています。
あてはめた分布の100aパーセント点をPαとします。パーセント点法による工程能力指数は、次のように定義されます。
Z-スコア法は、仕様限界を、同じ累積確率を持つ標準正規分布の分位点に変換します。あてはめた非正規分布の仕様限界を、それと累積確率が等しい正規分布の分位点に変換し、工程能力指数を計算します。
ここで、工程には下側仕様限界(LSL)と上側仕様限界(USL)が指定されており、その非正規分布の分布関数をFとします。標準正規分布のスケールに変換した仕様限界は、次のように定義されます。
そして、Z-スコア法による工程能力指数を、次のように定義します。
メモ: なお、Cpmは、目標値に基づく指標であるため、Z-スコア法では計算できません。
メモ: 優れた工程のデータでは、F(LSL)またはF(USL)がそれぞれ0または1に近くなり、LSLFまたはUSLFが計算できない場合があります。このような場合、JMPはデフォルトで自動的にZ-スコア方法からパーセント点方法に切り替えます。これにより、工程能力指数はより意味のあるものになります。このデフォルト設定をオフにするには、[ファイル]>[環境設定]>[プラットフォーム]>[工程能力]を選択します。