2方分割法では、2段分割法と異なり、第2段階の因子は第1段階の因子からの枝分かれにはなっていません。第1段階の後、バッチは改めて分割されて新しいバッチを形成します。そのため、第1段階と第2段階の因子は独立して割り付けられます。
2方分割法においては因子を変更する難しさはどちらの段階でも同程度かもしれませんが、因子を区別するために、JMPでは第1段階の因子を「非常に困難」、第2段階の因子を「困難」と呼んでいます。また、第2段階の後で実験ユニットに追加する因子を、(変更が)「容易」と呼んでいます。
この例は、乾電池の開回路電圧(「OCV」)の改善のための実験に基づいています(Vivacqua and Bisgaard, 2004)。乾電池の放電を防ぐために、「OCV」を最小化する必要があります。
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硫化工程に関連する2つの因子(「C5」・「C6」)。硫化工程の実験期間は30日間であり、1回の硫化工程には5日間を要します。そのため、第2段階の因子においては、6組の組み合わせを実験できます。各6組内において、硫化に関する因子設定を反復します。
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この実験では48個の実験ユニットを用います。また、第1段階の因子と、第2段階の因子の交互作用もモデルに含めます。
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[実験計画(DOE)]>[カスタム計画]を選択します。
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「カスタム計画」の赤い三角ボタンのメニューから[因子のロード]を選択します。
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「Design Experiment」フォルダの「Battery Factors.jmp」サンプルデータを開きます。
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第 11 步に進みます。
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「N個の因子を追加」の右側のボックスに「6」と入力します。
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6.
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[因子の追加]>[連続変数]を選択します。
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図5.76 「応答」および「因子」アウトライン
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[続行]をクリックします。
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「モデル」アウトラインで、[交互作用]>[2次]を選択します。
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「計画の生成」アウトラインで、[変更が「困難」な因子を、「非常に困難」な因子と独立して設定]オプションを選択します。
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「計画の生成」アウトラインを参照してください。このオプションにチェックを入れることで、2方分割実験計画が作成されます。このオプションを選択しなかった場合、2段階の枝分かれ構造になっている2段分割計画が作成されます。
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「一次単位の数」の横のボックスに「16」と入力します。
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「二次単位の数」の横のボックスに「6」と入力します。
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「実験の回数」の「ユーザ定義」テキストボックスに「48」と入力します。
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図5.77 「計画の生成」アウトライン
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[計画の作成]をクリックします。
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[テーブルの作成]をクリックします。
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図5.78 計画のデータテーブル(一部)
計画のデータテーブルには、「一次単位」の16個の水準が表示されます。「一次単位」の各水準において、組み立てに関する4つの因子の設定は一定です。「一次単位」の各水準から、電池500個ずつの3つのバッチ(「二次単位」)が無作為に選ばれ、硫化に関する因子の設定に割り当てられます。硫化に関する2条件(C1 = -1、C2 = 1およびC1 = 1、C2 = 1)は反復されます。これを確認するには、「C1」と「C2」を選択し、列見出しを右クリックして[並べ替え]>[昇順]を選択します。
「Battery Data.jmp」サンプルデータに、生成した計画の実験結果が含まれています。
1.
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「テーブル」パネルで、「モデル」スクリプトの横にある緑の三角ボタンをクリックします。
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因子「一次単位」には、変量効果(「&変量効果」)の属性が指定されています。変量効果に指定することにより、「「一次単位」の各水準がもつ効果は確率変数の実現値である」と仮定されます。つまり、「一次単位」は、誤差のように扱われます。
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分析手法は[REML(推奨)]です。モデルに変量効果があるため、この手法が用いられます。REMLモデルの詳細については、『基本的な回帰モデル』の標準最小2乗に関する章を参照してください。
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3.
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[ダイアログを開いたままにする]チェックボックスをオンにします。
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[実行]をクリックします。
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図5.79 完全モデルのレポート
「パラメータ推定値」レポートから、4つの2因子間交互作用「A1*C1」、「A1*C2」、「A2*C1」、「A4*C2」と2つの主効果「A1」と「A4」が有意水準0.05において有意であることがわかります。
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「Battery Data.jmp」の「テーブル」パネルで、「縮小モデル1」スクリプトの横にある緑の三角ボタンをクリックします。
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「モデルのあてはめ」ウィンドウが開きます。ここでは、有意でない交互作用が削除されています。残った効果は、すべての主効果と、4つの2因子間交互作用「A1*C1」、「A1*C2」、「A2*C1」、「A4*C2」です。ここでは、有意でない交互作用は削除していますが、主効果はすべて含めています。
6.
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[実行]をクリックします。
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図5.80 事前に縮小されたモデルのレポート
主効果「C2」は、有意水準0.05において有意です(p値(Prob>|t|) = 0.0331)。
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「モデルのあてはめ」ウィンドウで「A3」を削除します。
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主効果「A3」は、有意である2因子間交互作用には含まれておらず、また、その主効果も有意ではありません。
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[実行]をクリックします。
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図5.81 縮小モデルのレポート
「REML法による分散成分推定値」レポートから、「一次単位」に関連する分散成分は、「二次単位」の分散成分の5倍の大きさであることがわかります。これは、組み立て工程のばらつきが硫化工程のそれより大きいことを示します。また、「一次単位」のばらつきは、残差誤差のそれよりも大きくなっています。ばらつきを減らしたい場合は、まず組み立て工程(「一次単位」)に、そして乾電池ごとの違い(「残差」)に注意を払うべきです。
9.
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「応答 OCV」のタイトルバーにある赤い三角ボタンをクリックし、[因子プロファイル]>[プロファイル]を選択します。
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10.
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「予測プロファイル」のタイトルバーにある赤い三角ボタンをクリックし、[最適化と満足度]>[満足度の最大化]を選択します。
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図5.82 OCVを最小化する設定の予測プロファイル
プロファイルには、重要と識別された5つの因子と「OCV」を最小化する設定が表示されます。