安定性試験データの分析は、医薬品の有効期間を設定する際に使われているものです。JMPでの処理は、FDAのガイドラインの統計分析部分に基づき作成されたChow(2007)の付録Bに従い、3種類の線形劣化データ分析モデルから1つのモデルを選び、有効期間を推定します。3種類の線形モデルは、次のとおりです。
–
|
p値が0.25未満の場合、傾きはバッチ間で異なると判断します。そして、「モデルI」によって、有効期間を推定します。
|
–
|
p値が0.25以上の場合、傾きはすべてのバッチで等しいと判断し、 手順2に進みます。
|
–
|
p値が0.25未満の場合、切片はバッチ間で異なると判断します。そして、上記の「モデルII」によって有効期間を推定します。
|
–
|
p値が0.25以上の場合、切片はすべてのバッチで等しいと判断します。そして、上記の「モデルIII」によって有効期間を推定します。
|
「Stability.jmp」サンプルデータを分析してみましょう。このテーブルには、4つのバッチの医薬品で測定した化学濃度が記録されています。濃度が95になった時点で、医薬品は有効ではないと判断します。このデータをもとに、新規の医薬品の有効期間を設定します。
1.
|
2.
|
3.
|
[安定性試験]タブを選択します。
|
4.
|
「濃度(mg/Kg)」を選択し、[Y, 目的変数]をクリックします。
|
5.
|
「時間」を選択し、[時間]をクリックします。
|
6.
|
「バッチ番号」を選択し、[ラベル, システムID]をクリックします。
|
8.
|
[OK]をクリックします。
|
図7.26 安定性試験のモデル
共通の傾きに対する検定は、p値が0.8043です。有意水準の0.25より大きい値であるため、この検定は棄却されません。そこで、傾きは等しいと判断します。
共通の切片に対する検定は、p値が0.0001より小さくなっています。有意水準の0.25より小さい値であるため、この検定は棄却され、切片がバッチ間で異なると判断します。