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この例では、「VA Lung Cancer.jmp」サンプルデータに対して、比例ハザードモデルをあてはめます。このデータテーブルは、ランダム化臨床試験によって得られたデータです。外科手術が難しい肺がんを患った男性患者を、標準的な化学療法の群(「Standard」)と、新しい化学療法を受ける処置群(「Test」)に割り付けました。これらのどちらの群に割り付けられたかは、「処置」列で示されています。この試験の目的は、処置によって生存時間に違いが生じるかどうかを、特に腫瘍の種類(「セル」)も考慮しながら評価することです。このデータの詳細については、Prentice(1973)およびKalbfleisch and Prentice(2002)を参照してください。
患者の年齢(「年齢」
「年齢」「月数」「KPS」は連続尺度の測定値です。「セル」「処置」「前治療」はカテゴリカルな変数(名義尺度の変数)です。名義尺度の「セル」には、「Adeno」・「Large」・「Small」・「Squamous」の4つの水準があります。
1.
[ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「VA Lung Cancer.jmp」を開きます。
3.
「生存日数」[イベントまでの時間]に指定します。
4.
「打ち切りの有無」[打ち切り]に指定します。
5.
「セル」「処置」「前治療」「年齢」「月数」「KPS」を選択し、[追加]をクリックします。
6.
[実行]をクリックします。
図15.6 効果や水準が複数ある比例ハザードモデルのレポート
「効果の尤度比検定」レポートで、「p値(Prob>ChiSq)」の値が小さいことから、「KPS」「セル」の少なくとも1水準は、他の水準と異なると結論できます。一方、「処置」「前治療」「年齢」「月数」の各効果は有意ではありません。
8.
赤い三角ボタンのメニューから[リスク比]を選択します。
図15.7 「リスク比」レポート
「リスク比」レポートには、連続尺度の効果(「年齢」「月数」「KPS」)と名義尺度の効果(「セル」・「処置」「前治療」)のリスク比(ハザード比)が表示されています。ここでは、連続尺度の効果「年齢」と、4水準の名義尺度の効果(「セル」)に対する結果を説明します。
「VA Lung Cancer.jmp」サンプルデータの連続尺度の効果「年齢」のリスク比は、次式で計算されます。
exp(β) = exp(-0.0085494) = 0.991487
exp[β(xmax - xmin)] = exp(-0.0085494 × 47) = 0.669099
名義尺度の効果「セル」に対しては、「セルのリスク比」表に、水準のすべての組み合わせに対するリスク比が表示されます。なお、水準数がk個のカテゴリカル変数に対して実際に推定されるパラメータ数は、k - 1個です。「セル」は4水準ですので、「パラメータ推定値」表には3つ(「Adeno」・「Large」・「Small」)のパラメータ推定値が表示されています。「Squamous」の推定値は計算されていませんが、他の推定値を合計し、その符号を逆にして求めることができます。下の式は、計算例として、「セル」の2つのリスク比を示しています。
Large/Adeno = exp(βLarge)/exp(βAdeno) = exp(-0.2114757)/exp(0.57719588) = 0.4544481
Squamous/Adeno = exp[-(βAdeno + βLarge + βSmall)]/exp(βAdeno)