過飽和実験計画とは、因子の個数が実験回数より多い計画を指します。過飽和実験計画は、効果の希薄性(effect sparsity)を仮定しなければ成立しません。効果の希薄性が仮定できるのであれば、「2水準スクリーニングのあてはめ」プラットフォームが分析に最適です。どの効果が影響しているのかを調べるのが目的です。
この例では、18個の因子で実験回数が12回であるデータを、乱数で生成したデータを使用します。データのYの値は、次の式で生成されています。
上の式でε ~ N(0,1)です。つまり、Yは3つの因子から影響を受けています。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Supersaturated.jmp」を開きます。
2. [実験計画(DOE)]>[古典的な計画]>[2水準スクリーニング]>[2水準スクリーニングのあてはめ]を選択します。
3. 「Y」を選択し、[Y]をクリックします。
4. 「X1」から「X18」まで選択し、[X]をクリックします。
5. [OK]をクリックします。
図10.9 「Supersaturated.jmp」の「スクリーニング」レポート
先ほどの影響をもつ4つの因子が強調表示されています。「X10」、「X15」、「X7」は、有意水準5%において有意となっています。「半正規プロット」では、「X18」が青い線の近くにあり、また、p値は0.1に近いことがわかります。個別p値が0.1以下のものがデフォルトで選択されますが、この0.1という閾値は因子を選択する上で緩い基準であるため、影響力があると考えられる因子が漏れることはないでしょう。
対比「X10」、「X15」、「X7」の5.1、-3、1.8という値は、本当の値(5、-3、2)に近い値といえます。
「2水準スクリーニングのあてはめ」プラットフォームにおいて過飽和計画に対して計算されるp値は、統計的に見て完全に妥当ではありません。なぜなら、過飽和計画は直交でないのに、直交計画を仮定したシミュレーションに基づいてp値が計算されているからです。それでも、さらなる分析の対象とする効果を特定するうえでは役立つでしょう。