公開日: 04/01/2021

モデルに誤差因子が含まれる例

例として「Tiretread.jmp」データテーブルを分析してみましょう。このデータテーブルは、タイヤメーカーがシリカシラン硫黄の含有量を因子とし、タイヤの硬度を目標値の70.0に合わせることを目的に行った実験の結果です。シラン硫黄の量は簡単(かつ精確)に制御が可能ですが、シリカには無視できないばらつきがあります。

比較のため、まず誤差因子のばらつきを考慮せずに、硬度を最適化するための因子設定を見つけます。

1. [グラフ]>[プロファイル]を選択して予測プロファイルを起動します。

2. 「予測式 硬度」[Y, 予測式]の役割を割り当てます。

3. [OK]をクリックします。

4. 「予測プロファイル」のメニューから[最適化と満足度]>[満足度関数]を選択します。

5. 満足度関数のプロットをダブルクリックすると、「応答目標」ウィンドウが開きます。リストから[目標値に合わせる]を選択します。

6. [最適化と満足度]>[満足度の最大化]を選択して「硬度」を目標値に一致させるような因子設定を見つけます。

予測プロファイルは次の図のようになります。「シリカ」の最適値がプロファイル曲線のカーブの途中にあることに注意してください。これは、「シリカ」のばらつきの多くが、応答の「硬度」に伝達されることを示しています。

注: 目標値を達成する因子設定の組み合わせは1つとは限らないので、ユーザによる分析の結果がここで紹介するものと一致しないこともあります。

図3.20 「硬度」の満足度の最大化 

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そこで今度は、「硬度」を目標値に合わせるだけでなく、因子の値が「シリカ」の曲線の平坦な部分にくるようにします。次の手順により、「シリカ」を誤差因子として追加します。

1. [グラフ]>[プロファイル]を選択します。

2. 「予測式 硬度」を選択し、[Y, 予測式]をクリックします。

3. 「シリカ」を選択し、[誤差因子]をクリックします。

4. [OK]をクリックします。

5. 前に行ったように「予測式 硬度」の満足度関数を変更します。

今回のプロファイルで最適化すると、目標値に近づけるだけではなくて、予測式を誤差因子で微分した式がゼロである、つまり、誤差因子において最も平坦である位置が探し出されます。

図3.21 シリカについての予測式の微分 

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6. [最適化と満足度]>[満足度の最大化]を選択すると、誤差因子を考慮した上で、因子の最適設定が探し出されます。

今度は、「硬度」が目標値に一致するだけでなく、「シリカ」において平坦な領域が探し出されています。この性質により、今回の分析で探し出された設定値では、「シリカ」のばらつきは、あまり「硬度」に伝達されません。

図3.22 満足度の最大化 

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これらの設定の違いによって、出力の分散がどれぐらい異なるかは簡単に調べることができます。それには、各プロファイル(誤差因子のあるものと、ないもの)で次の手順を行います。

1. プラットフォームのメニューから[シミュレータ]を選択します。

2. 「シリカ」に[ランダム]を選択し、標準偏差が0.05の正規分布の乱数を割り当てます。

図3.23 正規乱数の設定 

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3. [シミュレーション]をクリックします。

4. [シミュレーションのデータテーブル]ノードの下にある[テーブルの作成]ボタンをクリックします。

誤差因子を考慮しなかった場合と、考慮した場合では、シミュレーションの結果は大きく異なります。これら2つの結果を比較するために、いずれかの結果を別のデータテーブルにコピーしましょう。比較が可能な予測ヒストグラムを作成するためには、2つの予測列を1つのデータテーブルに保存しておく必要があります。

5. シミュレーションで得られたデータテーブルの片方から「予測式 硬度」列をコピーし、他方のデータテーブルに貼り付けます。2つの列に、それぞれ「誤差因子なし」「誤差因子あり」など、異なる名前をつけます。

6. [分析]>[一変量の分布]を選択し、両方の予測列に[Y]の役割を割り当てます。

7. ヒストグラムが表示されたら、「一変量の分布」タイトルバーにある赤い三角ボタンのメニューから[スケールの統一]を選択します。

図3.24 誤差因子を考慮しなかった場合と考慮した場合の比較 

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ヒストグラムを見ると、分析に誤差因子を含めない場合の方が「硬度」のばらつきがずっと大きいことがわかります。

また、誤差因子を含めた場合のヒストグラムは、興味深い形状になっています。上のヒストグラムの比較を見ると、「誤差因子あり」の分布では、データが一方向だけに延びています。予測が歪んでいるのは、「硬度」「シリカ」との関係において最小となるためです(図3.25)。そのため、「シリカ」にばらつきがあれば、「硬度」は増加する一方です。ロバストでない解を使用した場合、ばらつきはどちらの方向にも伝達されます。

図3.25 「シリカ」に対する「硬度」の最小値を示した予測プロファイル 

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より詳細な情報が必要な場合や、質問があるときは、JMPユーザーコミュニティで答えを見つけましょう (community.jmp.com).