この例では、「MathScienceTest.jmp」を使います。このデータは、1996年に実施された第3回国際数学・理科教育調査(TIMSS)のデータから採ったサブセットです。データテーブルには、14の問題に対する1,263人の受験者のスコア(1 = 正解、または0 = 不正解)が含まれています。最初の4つの問題を調べて、問題と受験者の数学能力との関係を理解しましょう。テストの問題は、数学的な潜在能力を測るために使用される項目です。2PLモデルをこのデータにあてはめてみましょう。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「MathScienceTest.jmp」を開きます。
2. [分析]>[多変量]>[項目分析]を選択します。
3. 「質問1」から「質問4」までを選択し、[Y, テスト項目]をクリックします。そして、[OK]をクリックします。
図11.2 「項目反応」レポート
デュアルプロットから、質問4の困難度スコアが-1.78と最も低くなっているため、4つの問題のうち質問4が最も易しいことがわかります。質問3は、困難度スコアが0.46で、最も難しいことがわかります。受験者のほとんどは、グラフの中央部分にあるデータ点で示されているとおり、能力スケールの中央から下限までの範囲内に入っています。ヒストグラムでは、受験者の約40%が能力スケールにおいて、0のやや上にいることがわかります。
注: 能力スコアは、全問誤答者または全問正解者については計算されません。項目反応理論モデルの推定方法を参照してください。
4. 「特性曲線」レポートの開閉アイコンをクリックして開きます。
5. 「項目分析」の赤い三角ボタンをクリックして、[横に並べるプロット数]を選択します。
6. 「2」を入力して[OK]をクリックします。
7. 「情報量プロット」レポートのグレーの開閉アイコンをクリックして開きます。
図11.3 項目反応の例
質問1のプロットを見ると、特性曲線も、情報量曲線も、平坦になっています。これは、質問1が受験者の数学的能力を識別するためにはそれほど多くの情報を有していないということを示しています。質問2の特性曲線は、傾斜が大きくなっています。これは、質問2は、受験者の能力を識別するのに役立つことを示しています。各プロットにおいて、特性曲線の変曲点の位置に、縦線が描かれています。この縦線は、該当の問題に受験者が正答する確率が50%となる能力レベルを示しています。
「情報量プロット」は、4つの問題の情報量を合わせたものです。おおよそ-1~0の能力レベルにおいて、最大の情報があることを示しています。困難度の高い問題を含めると、情報量曲線の幅が広がる可能性があることを示唆しています。