インゴットの製造に関する実験として、加熱時間とソーキング時間を変え、仕様に適合した、圧延可能な状態に仕上がったかどうかを調べてみました。Cox and Snell(1989)を参照してください。データは、サンプルデータのフォルダにある「Ingots.jmp」データテーブルにまとめられています。この例では、「モデルのあてはめ」プラットフォームを使い、「状態」の確率に「加熱時間」と「ソーキング時間」を説明変数としたロジスティック回帰モデルをあてはめます。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Ingots.jmp」を開きます。
カテゴリカル変数である「状態」は、「Ready」(適合)と「Not Ready」(不適合)の値を取ります。
2. [分析]>[モデルのあてはめ]を選択します。
3. 「状態」を選択し、[Y]をクリックします。
選択した列が名義尺度であるため、自動的に[名義ロジスティック]が手法として指定されます。
「状態」は、2水準の名義尺度の列であるため、[イベントを示す水準]オプションが表示されます。このオプションで、どの応答水準の確率をモデル化するかが指定できます。このモデルでは、[イベントを示す水準]を「Ready」とし、「Ready」の値の確率をモデル化します。
4. 「加熱時間」と「ソーキング時間」を選択し、[追加]をクリックします。
5. 「度数」を選択し、[度数]をクリックします。
6. [実行]をクリックします。
反復計算が収束したら、名義ロジスティックの回帰レポートが表示されます。
図11.2 「名義ロジスティックのあてはめ」レポート
「モデル全体の検定」レポートを見ると、カイ2乗統計量(11.64)のp値が0.0030と小さく、モデル全体が有意であることがわかります。しかし、「ソーキング時間」は、パラメータ推定値のp値が0.8639であることから、重要ではなさそうです。
7. 「名義ロジスティックのあてはめ 状態」の赤い三角ボタンをクリックし、[プロファイル]を選択します。
図11.3 予測プロファイル
「加熱時間」を45、「ソーキング時間」を2に設定したとき、「状態」が「Ready」である確率は0.85となります。
この例に対する追加の分析として、圧延可能な状態となる確率の値を指定した場合の、特定のソーキング時間に対応する加熱時間を、逆推定によって求めたくなるかもしれません。そのような逆推定の例については、逆推定の例を参照してください。