この例では、工程の振る舞いを調べる場合、[T2乗の分割]を使って、重要な成分とあまり重要でない成分に分けます。この例では、50本の棒のそれぞれで、均一な間隔を置いた12箇所のコーティングを調べました。測定値の変動を調べ、変動の原因をさらに調べる必要があるかどうかを判断します。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Quality Control」フォルダにある「Thickness.jmp」を開きます。
2. [分析]>[品質と工程]>[管理図]>[多変量管理図]を選択します。
3. 「厚さ」のすべての列を選択し、[Y, 列]をクリックします。
4. [OK]をクリックします。
現在の有意水準は0.05に設定されています。これは、誤警報率が5%であることを示します。この誤警報率を1%に変更しましょう。
5. 有意水準を変更するには、「多変量管理図」の横にある赤い三角ボタンをクリックし、[α水準の設定]を選択して、[0.01]を選択します。
図K.9 「Thickness.jmp」の最初の多変量管理図
図K.9の全体の管理図は、棒1, 2, 4, 5, 22には何かしらの特殊原因が影響しているだろうことを示唆しています。「主成分分析」レポートを見ると、12個の厚さの測定値における約95%の変動は、最初の主成分によって説明できることがわかります。第1主成分だけに関連する変動についてさらに調べていきましょう。
6. 「多変量管理図」の横にある赤い三角ボタンをクリックし、[T2乗の分割]を選択します。
7. 主成分の数をデフォルトの1としたまま[OK]をクリックします。
図K.10 T2乗で分割された管理図
「すべての主成分のT2乗」レポートとは対照的に、最初の成分だけの変動を反映した「大きな主成分のT2乗」チャートには、特殊原因が存在する証拠が見られません。「小さな主成分のT2乗」チャートから、特殊原因がその他の小さな成分の中に存在することがわかります。小さな成分が説明する変動は多くないため、それらの変動はノイズであろうと考えられます。したがって、厚さの測定値における変動には、大きな問題はないと判断できます。