PLS回帰(Partial Least Squares regression)は、通常の最小2乗とは異なり、説明変数の個数がデータの行数よりも多い場合でも使用できます。PLS回帰は、分光測定、計量化学、ゲノミクス、心理学、教育学、経済学、政治学、環境科学といった分野で、多変量データをモデル化するのに幅広く使用されています。
PLS回帰は、説明変数の個数がデータの行数よりも多い場合や、説明変数の間に高い相関がある場合に特に役立ちます。また、PLS回帰は、複数の応答変数を1つのモデルでモデル化できます。Garthwaite(1994)、Wold(1994)、Wold et al.(2001)、Eriksson et al.(2006)、Cox and Gaudard(2013)を参照してください。
PLS回帰モデルの手法には、NIPALS(Nonlinear Iterative Partial Least Squares)と、SIMPLS(Statistically Inspired Modification of PLS)の2つがあります。NIPALSの詳細については、Wold(1980)を参照してください。SIMPLSの詳細については、De Jong(1993)を参照してください。両手法の説明については、Boulesteix and Strimmer(2007)を参照してください。SIMPLS法は、目的関数を明確に示して、それを最適化するという考えに基づき、導出された方法です。応答が1つの場合は、どちらの手法も同じ結果となります。応答が複数の場合は、結果は少し異なります。
JMPで「PLS回帰」プラットフォームを開くには、[分析]>[多変量]>[PLS回帰]を選択します。JMP Proでは、その他に、[分析]>[モデルのあてはめ]の[PLS回帰]手法を選択することでも、「PLS回帰」プラットフォームを起動できます。
JMP Proでは、次のことが行えます。
• [モデルのあてはめ]の[PLS回帰]手法で応答変数に名義尺度を指定することにより、PLS-DA(PLS判別分析)を行えます。
• [モデルのあてはめ]の[PLS回帰]手法で多項式項、交互作用項、およびカテゴリカル項といった効果を指定できます。
• 複数の検証法や交差検証法が用意されています。
• 欠測データを補完できます。
• 各種統計量に対してブートストラップ推定を行えます。ブートストラップ推定を行うには、関心のあるレポート内で右クリックしてください。ブートストラップ推定については、『基本的な統計分析』を参照してください。
PLSプラットフォームでは、van der Voet T2検定と交差検証法によって、抽出する因子数を決めることができます。
• JMPの標準版では、交差検証として、1つ取って置き法(LOOCV; Leave-One-Out Cross Validation)を行えます。検証をしないことも選択できます。
• JMP Proでは、K分割交差検証法、一つ取って置き法、無作為抽出による検証法を選択できます。また、JMP Proでは、検証列を指定することもできます。検証をしないことも選択できます。