この例では、2因子の応答曲面計画を題材にして、D-最適とI-最適の違いについて検討します。
1. [実験計画(DOE)]>[カスタム計画]を選択します。
2. 「N個の因子を追加」の右側のボックスに「2」と入力します。
3. [因子の追加]>[連続変数]を選択します。
4. [続行]をクリックします。
5. [RSM]をクリックします。
X1とX2の2次までの項がモデルに追加されます。[RSM]ボタンをクリックしたので、推奨される最適化法がD-最適化基準からI-最適化基準に変わります。これは、後で「計画の診断統計量」アウトラインで確認できます。
メモ: 乱数シード値(ステップ6)と開始点の数(ステップ7)を設定すると、以下の数値例と同じ結果が得られます。同じ実験設定でなくても良い場合は、これらの手順は不要です。
6. (オプション)「カスタム計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[乱数シード値の設定]を選択します。次に、「383570403」と入力して[OK]をクリックします。
7. (オプション)「カスタム計画」の赤い三角ボタンのメニューから[開始点の数]を選択し、「8」と入力して[OK]をクリックします。
8. [計画の作成]をクリックします。
図5.40 I-最適計画
このI-最適計画では、実験1、4、7、10が中心点です(X1 = 0、X2 = 0)。I-最適計画は、D-最適計画よりも、より多くの点を計画領域の中心に配置する(その結果、端の方の点は少なくなる)傾向にあります。この計画を、図5.42のD-最適計画と比較してみてください。
9. 「計画の評価」>「予測分散プロファイル」アウトラインを開きます。
図5.41 I-最適モデルの予測分散プロファイル
応答の相対的な予測分散は、計画領域の中央で最も小さくなっています。
10. 「計画領域率プロット」アウトラインを開きます。
図5.44の左側のような「計画領域率プロット」が表示されます。領域率が0.95のとき、青い曲線の縦の座標は約0.5です。これは、予測分散が、計画領域の95%において誤差分散の50%を下回ることを意味します。
この「カスタム計画」ウィンドウで作成した計画は、I-最適計画です。ウィンドウを開いたままにしておいてください。次の節では、D-最適計画を生成し、比較します。
I-最適計画とD-最適計画の「予測分散プロファイル」と「計画領域率プロット」を比較するため、次の手順に従ってください。
1. I-最適計画を含む「カスタム計画」ウィンドウで、「カスタム計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[スクリプトをスクリプトウィンドウに保存]を選択します。
ウィンドウが開き、計画を再現するためのスクリプトが表示されます。
2. この新しいスクリプトウィンドウで、[編集]>[スクリプトの実行]を選択します。
「カスタム計画」ウィンドウが複製されます。ただし、「計画の評価」アウトラインは閉じています。
3. 新しい「カスタム計画」ウィンドウで、[戻る]をクリックします。
4. [カスタム計画]の赤い三角ボタンをクリックし、[最適化基準]>[D-最適計画の作成]を選択します。
5. (オプション)「カスタム計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[乱数シード値の設定]を選択します。次に、「383570403」と入力して[OK]をクリックします。
6. [計画の作成]をクリックします。
新しい「カスタム計画」ウィンドウには、D-最適計画が含まれています。
図5.42 D-最適計画
このD-最適計画では、実験1だけが中心点にあります。D-最適計画は、I-最適計画に比べ、多くの実験を計画領域の端の方に配置する傾向があります。I-最適計画には中心実験が4つあったことを思い出してください(図5.40)。
7. 「計画の評価」>「予測分散プロファイル」アウトラインを開きます。
図5.43 D-最適モデルの予測分散プロファイル
計画領域の中心における相対的な予測分散は、I-最適計画での0.208333に対し、D-最適計画では0.53562となっています(図5.41)。つまり、D-最適計画における予測値の相対的な標準誤差は0.732で、I-最適計画のものは0.456です。計画領域の中心において、他がすべて同じでも、D-最適計画に基づく予測応答の信頼区間は、I-最適計画に基づく信頼区間より約60%広くなります。
「計画」アウトラインを見ると、X1 = -1, 0, 1とX2 = -1, 0, 1との組み合わせとして、全部で9つの計画点があります。D-最適化基準は、これらの9つの各計画点での相対的な予測分散を小さくしようとします。X1とX2の縦線を-1と1まで動かし、計画領域の端での分散を調べてみましょう。計画領域の端での分散は、D-最適計画のほうが、I-最適計画よりも小さくなるのが普通です。
8. 「計画の評価」>「計画領域率プロット」アウトラインを開きます。
図5.44の右側のような「計画領域率プロット」が表示されます。
図5.44 計画領域率プロット(左はI-最適計画、右はD-最適計画)
各プロットの赤い十字は、計画領域の50%に対する最大予測分散を示しています。計画領域の50%において、I-最適計画の最大予測分散は約0.27、D-最適計画の最大予測分散は約0.4です。
9. I-最適計画の「計画領域率プロット」内を右クリックします。[編集]>[フレーム内容のコピー]を選択します。
10. D-最適計画の「計画領域率プロット」内を右クリックします。[編集]>[フレーム内容の貼り付け]を選択します。
図5.45 計画領域率プロット(重ねて表示)
I-最適計画の曲線は、計画領域の90%以上において、D-最適計画の曲線より下にあります。これは、I-最適計画が、すべての計画領域における予測分散を最小化しようとするためです。一方のD-最適計画は、各計画点での予測分散を小さくすることに重点を置きます。