[イベントまでの時間の形式]タブと[日付形式]タブでは、[イベントまでの時間]または[タイムスタンプ]として1つまたは2つの列を指定します。[並行システム]および[並列システム]では、「システムID」列の水準ごとに1つの列を入力できます。サンプルデータフォルダの「Reliability」フォルダ内には、並行システムや並列システムのデータテーブルが用意されています。並行システムの例としては「Concurrent Systems.jmp」、並列システムの例としてはファイル名が「Parallel Systems」で始まる4つのテーブルが用意されています。
次に、1列のデータと、2列のデータの違いについて説明します。
一部の試験では、試験対象のシステムを定期的に点検して、故障が生じているかどうかを確認します。その場合、ある期間内で故障が生じたことはわかりますが、正確な発生時刻はわかりません。このようなデータを、区間打ち切りと言います。
「信頼性成長」プラットフォームでは、区間打ち切りではない正確な故障時間のデータと、区間打ち切りデータの両方を扱うことができます。[イベントまでの時間]または[タイムスタンプ]に、1列だけを指定した場合、その列に含まれているデータは、(打ち切りのない)正確な故障時間とみなされます。
2つの列を指定した場合、それぞれの列は、区間の開始時点と終了時点であるとみなされます。開始時点と終了時点が異なる場合、区間打ち切りとみなされます。この時、故障は、その区間内における、いずれかの時点で生じているとみなされます。開始時点と終了時点が同じ場合、それらは正確な故障時間とみなされます。このように、2つの列によって、正確、および、区間打ち切りの両方を表すことができます。
正確な故障時間は、1列だけでも指定できますし、開始時点と終了時点を同じにした2列でも指定できます。
「信頼性成長」プラットフォームで、モデルを推定するときには、最尤法が使われています。この最尤法の尤度関数では、区間打ち切りも考慮されますので、正確なデータと区間打ち切りデータが混在していても問題ありません。
試験を途中で終了する方法には、主に、2種類があります。特定の故障数に達した時点で打ち切る場合と、特定の期間が過ぎた時点で打ち切る場合です。たとえば、前者は、50件の故障が生じた時点で、後者は、6か月が経った時点で試験を終了します。
故障数に基づいて終了することを定数打ち切りといいます。一方、所定の期間に基づいて終了することを、定時打ち切りといいます。「信頼性成長」プラットフォームでは、各フェーズが、定数と定時のいずれの打ち切りであるかを判断し、尤度に反映させます。
信頼性成長試験では、複数のフェーズがあるのが普通です。たとえば、開発中のシステムやプログラムに、ある時点で大幅な変更が加えられた場合には、その前後でフェーズが異なると考えられます。分析に用いるデータテーブルには、以下に説明するように、各フェーズが開始される時間と、各フェーズが定数と定時のいずれの打ち切りかを示す情報を含めてください。
フェーズが1つだけの場合、データテーブルの最終行における、時間とイベント度数の値によって、定数と定時のいずれの打ち切りであるかが判断されます。
• データテーブルの最終行が正確な故障時間であり、かつ、そのイベント度数が0より大きい場合、試験は定数打ち切りとみなされます。
• 最終行の時間が正確なもので、かつ、最終行のイベント度数がゼロである場合は、定時打ち切りとみなされます。
• 2列で指定されており、最終行の区間幅がゼロでない場合は、定時打ち切りとみなされます。この時、最終行における区間の右側の値が、試験の終了時間とみなされます。
メモ: 定時打ち切りでは、データテーブルの最終行で試験終了時間を示す必要があります。[イベントまでの時間]または[タイムスタンプ]の列に1列だけを指定した場合、定時打ち切りを示すためには、最終行のイベント度数がゼロでなければいけません。[イベントまでの時間]または[タイムスタンプ]の列に2列を指定した場合は、最終行における区間の右側の値が試験終了時間とみなされます。このとき、最終行の区間において故障が生じなかったときは、イベント度数にゼロを入力してください。
データが「イベントまでの時間」形式の場合には、第2フェーズ以降の全フェーズにおいて、時間の列にフェーズの開始時間を含めてください。データが「日付」形式の場合には、全フェーズにおいて、日付(タイムスタンプ)の列にフェーズの開始日付を含めてください。フェーズの開始時間にイベントが発生していない場合、[イベント度数]列のセルにゼロを入力してください。なお、時間の列が2列のときにも、両側の端点が同じ値になっている擬似的な区間を、各フェーズの先頭に追加し、また、そのイベント度数をゼロにして、フェーズの開始時間を示す必要がある場合もあります。
最終フェーズを除く各フェーズが定数と定時のいずれの打ち切りであるかは、直前のフェーズにおける最終行のデータで判断されます。例として、フェーズAが終了し、フェーズBが開始する時間がtBであるとしましょう(この場合、フェーズBの第1行は、時間tBにおけるデータでなければいけません)。
• フェーズAの最終行が正確な故障時間であり、かつ、その故障時間がtBと異なる場合、フェーズAは、時間tBで打ち切られた定時打ち切りとみなされます。
• フェーズAの最終行が正確な故障時間であり、かつ、その故障時間がtBと等しい場合、フェーズAは、定数打ち切りとみなされます。
• フェーズAの最終行が区間を表している場合、フェーズAは、時間tBで打ち切られた定時打ち切りとみなされます。
最終フェーズが定数と定時のいずれの打ち切りであるかは、最終行のデータで判断されます。
• データテーブルの最終行が正確な故障時間であり、かつ、そのイベント度数が0より大きい場合、試験は定数打ち切りとみなされます。
• データテーブルの最終行が、正確な時間であるがイベント度数がゼロの場合、もしくは、幅をもつ区間の場合には、試験は定時打ち切りとみなされます。