注意: EMS法は推奨いたしません。REML法を用いることを推奨いたします。
起動ウィンドウの手法で[EMS法]を選択した場合、次に説明する4つのレポートが表示されます。固定効果や変量効果に対する検定は、どちらも「変量効果を考慮した検定」レポートに表示されます。
モデル効果の平均平方の期待値(期待平均平方)は、誤差も含む分散成分や、固定効果の線形結合によって表すことができます。「期待平均平方」の表には、各モデル効果の期待平均平方を表す関係式における、分散成分や固定効果に対する係数が表示されます。各行は、一番左にリストされている効果の期待平均平方に対応しています。各列は、表の一番上に表示されている分散成分や固定効果に対応します。各期待平均平方には、係数1の誤差分散が含まれます。そのことは表の下の注釈に記載されています。
図3.63は、「Investment Castings.jmp」サンプルデータの「期待平均平方」レポートです。サンプルデータに添付されている「モデル: EMS」スクリプトを実行し、次にモデルを実行すると作成されます。
図3.63 「期待平均平方」レポート
この表から、「鋳造[温度]」の期待平均平方は次の線形結合と等しいことが分かります。
EMS法では、前節で説明した関係式の期待平均平方に、観測された平均平方を代入し、その連立方程式を解くことで、分散成分の推定値を求めます。「分散成分推定値」レポートには、そうして得られた分散成分の推定値が表示されます。
成分
変量効果の名前。
分散成分推定値
分散成分の推定値。
全体に対する百分率
分散成分の合計に対する各分散成分の割合。
変動係数
分散成分の変動係数。分散成分の平方根を、応答の平均値で割り、100倍したもの。
メモ: レポートを右クリックし、[列]>[変動係数]を選択した場合のみ表示されます。
各効果の検定には、F検定が使われています。このF検定の分母は、その期待値が、帰無仮説のもとでの分子の平均平方期待値と一致するような平均平方です。この分母は、分散成分と固定効果に関係する値から合成されて求められます。
要因
検定対象の効果。
分母平均平方
F検定の分母で使われる平均平方の合成値。
分母自由度
分母に使われる合成された平方和の自由度。この分母の自由度はSatterthwaite法で計算されます(Satterthwaite, 1946)。
分母平均平方合成
合成された分母に使用された分散成分。誤差分散は、常に分母での合成値に使われます。
固定効果および変量効果の検定は、このレポートに表示されます。
要因
検定対象の効果。これには、固定効果と変量効果が含まれます。
平方和
効果の平方和。
分子平均平方
分子の平均平方。
分子自由度
分子の自由度。
F値
検定のF値。分子平均平方と分母平均平方の比。分母平均平方は、「F検定の分母」レポートで求められています。
p値(Prob > F)
「効果が0である」という帰無仮説を検定するp値。
注意: EMS法を用いた場合、最小2乗平均の標準誤差、および、最小2乗平均の対比に対するF検定の分母では、上記した合成分母が使用されます。しかし、交互作用で共通の水準内で比較する対比の検定など、特定の状況では、検定や標準誤差などが適切でなくなることがあります。また、「カスタム検定」や「てこ比プロット」オプションの結果は、合成分母ではなく、単なる誤差分散の推定値を使って計算されます。そのため、EMS法を用いた場合、これらの結果が適切でなくなることがあります。
EMS法を使用し、[因子プロファイル]>[プロファイル]を選択した場合、固定効果モデルに基づいた条件付き予測と平均信頼区間が表示されます。これらの値は、変量効果の予測値に基づいていません。