この例では、色の好みについてのアンケート調査を含む「Color Preference Survey.jmp」サンプルデータを使用します。「カテゴリカル」プラットフォームを使用すると、無応答(無回答)がある多重応答(複数回答)のデータを要約できます。「無応答(無回答)」とは、質問に回答しなかった状態を指します。なお、アンケート調査では、「上記のいずれでもない」や「該当しない」といった選択肢がよく使われます。これらの選択肢は、該当する回答がなかった回答者を、質問に回答しなかった回答者と区別するための手段です。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Color Preference Survey.jmp」を開きます。
2. [分析]>[消費者調査]>[カテゴリカル]を選択します。
3. [表の構成]タブをクリックします。
4. 「好きな色はどれですか?(回答なしを含む)」を選択し、それを表の「横側」にある緑の矢印のドロップゾーンにドラッグします。
メモ: この列には多重応答データが含まれており、それぞれの応答水準がカンマで区切られています。回答のない行が3つあります。この列はこの例のために作成されたもので、個々の「好きな色は何ですか」列の応答と完全には一致していません。
5. 「上側」の緑の矢印をクリックし、「性別を教えてください。」を選択します。
6. [追加=>]をクリックします。
7. [OK]をクリックします。
図3.44 最初に表示されるクロス表
「全ケース数」の値が「応答している全ケース数」の値より大きいことに注意してください。アンケート調査に参加した女性は37人ですが、そのうちの36人しかこの質問に回答していません。
8. 「カテゴリカル」の赤い三角ボタンをクリックし、[多重応答の検定]>[無応答を計算から除外]を選択します。
9. 「カテゴリカル」の赤い三角ボタンをクリックし、[多重応答の検定]>[二項分布の等質性検定]を選択します。
図3.45 二項分布の等質性検定の結果
この分析では、青と黄色の場合は性別に関係なく男女とも同程度にこれらの色が好きだと答えていますが、その他の色では性別間で差があることがわかります。たとえば、赤は女性よりも男性が好んでいるようです。赤に関する検定のp値は0.0044であり、性別間で好みに有意差があるという結論が導き出されます。図3.44のクロス表を見ると、赤は女性の48.6%に対し、男性の76.7%が好きだと答えています。
結果の上部には、無応答(無回答)の行が分析から除外されている旨が記されています。また、結果の下部に記されているように、この多重応答の検定は該当カテゴリを含んでいるかどうかを応答としたものです。この例で分析対象としている応答では、回答者は質問に対して複数の応答を選択できます(複数の選択肢を選ぶことが許されています)。ここでの検定は、応答のある行のみを使用して実行されています。この質問に対して応答のなかった3つの行は含まれていません。
ヒント: [多重]タブを使用しても、上記の結果と同じ結果を得ることができます。それには、「好きな色はどれですか?(回答なしを含む)」を[多重応答 区切り文字]として選択し、「性別を教えてください。」をグループ変数として選択します。