この例では、蒸気タービンシステムの工程変数を含む「Steam Turbine Historical.jmp」サンプルデータを使用します。監視対象となっている6つの変数の管理図を作成します。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Quality Control」フォルダにある「Steam Turbine Current.jmp」を開きます。
2. [分析]>[品質と工程]>[モデルに基づく多変量管理図]を選択します。
3. 6列すべてを選択し、[工程]をクリックし、[OK]をクリックします。
図11.2 蒸気タービンレポート
16行目の後で工程がシフトすることに注目してください。
4. 17行目のデータ点を選択します。右クリックして、[行]>[行ラベル]を選択します。
5. マウスポインタを17行目のデータ点の上に置くと、その点のT2寄与率プロットが表示されます。そのプロットをクリックすると、レポートウィンドウ内にプロットが呼び出されます。
図11.3 17行目のデータに対する寄与率プロット
「冷却温度」がT2値に対して40%ほど寄与していることに注目してください。「冷却温度」の棒は緑であり、17行目のデータが「冷却温度」の一変量管理図において管理限界内であることを示しています。「蒸気量」と「メガワット」はそれぞれ、T2値に対して約20%ほど寄与しています。これらは両方とも赤であり、17行目のデータが、それら各変数の一変量管理図において管理限界外にあることを示しています。「蒸気温度」は、T2値にまったく寄与していません。この例では、多変量管理図で管理限界外となっているデータ行で、一変量管理図でも管理限界外となっている変数がありました。しかし、常にそうなるわけではありません。多変量工程管理では、T2管理図において管理限界外の点が観測されながらも、すべての変数の一変量管理図においては、そのデータ行は管理状態にあるという場合があります。
6. マウスポインタを寄与率プロット内の「蒸気量」の棒上に置くと、「蒸気量」の一変量管理図が表示されます。また、一変量管理図をクリックすると、新しいレポートウィンドウ内にその一変量管理図が呼び出されます。
図11.4 蒸気量の一変量管理図
一変量管理図は、17行目あたりで蒸気量に異常があった可能性を示唆しています。
7. 「PCA(主成分分析)モデルに基づく多変量管理図」レポートウィンドウで、「3個の主成分におけるT2」の赤い三角ボタンをクリックし、[寄与率ヒートマップ]を選択します。
図11.5 寄与率ヒートマップ
寄与率ヒートマップは、他の行に比較して、行番号が16、17、18、23のデータにおいて、寄与率にシフトがあることを示唆しています。一般に、「蒸気温度」、「冷却温度」、および「圧力」は、各行のT2値に最も多く寄与します。