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公開日: 11/25/2021

「拡張計画」プラットフォームの使用例

計画に実験を追加するには、「拡張計画」プラットフォームを使用します。この例では、スクリーニング計画であいまいな結果が出た場合に、「拡張計画」プラットフォームを使って解決する方法を示します。ある化学技術者が化学工程の反応率に因子が及ぼす効果を調べようとしています。元の計画は、主効果だけを調べるのに適した8回の実験でした。この実験計画を拡張して、全部で16回の実験を行い、2因子間交互作用をすべて推定できるようにしてみましょう。

1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Design Experiment」フォルダの「Reactor 8 Runs.jmp」を開きます。

2. [実験計画(DOE)]>[拡張計画]を選択します。

3. 「反応率(%)」を選択し、[Y, 応答変数]をクリックします。

4. 「送り速度」「触媒」「攪拌速度」「温度」「濃度」を選択して、[X, 説明変数]をクリックします。

5. [OK]をクリックします。

図6.2 化学反応の因子の例 

Factors for the Reactor Example

メモ: 追加する実験を別のブロックとみなしたブロック因子を追加するには、[追加する実験を別のブロックに入れる]を選択します。この例では16回の実験ですべての2因子間交互作用を推定しますが、ブロック因子を仮定した場合、16回の実験ではすべての2因子間交互作用は推定できません。

6. [拡張計画]をクリックします。

図6.3のモデルは、データテーブルの「モデル」スクリプトを使って定義されたものです。8回の実験で、最大7つの効果を推定することができます。このスクリプトのモデルには、5つの主効果すべてと、2つの交互作用の項が含まれます。モデルの項は、すべて必須の効果と定義されます。効果の推定可能性については、モデルを参照してください。

図6.3 「拡張計画」プラットフォームの初期状態 

Initial Augment Design Platform

7. 「モデル」パネルで[交互作用]>[2次]を選択します。

すると、モデルにすべての2因子間交互作用が追加されます。このモデルの最小実験数は、「計画の生成」パネルのテキストボックスに表示されている「16」です。

メモ: 乱数シード値(ステップ8)と開始点の数(ステップ9)を設定すると、図6.4と同じ結果が得られます。同じ結果でなくても良い場合は、この手順は不要です。

8. (オプション)「拡張計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[乱数シード値の設定]を選択します。次に、「282322901」と入力して[OK]をクリックします。

9. (オプション)「拡張計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[開始点の数]を選択します。次に、「800」と入力して[OK]をクリックします。

10. [計画の作成]をクリックします。

11. 「計画」の開閉アイコンをクリックして、計画の内容を確認します。

図6.4 実験回数16回の拡張計画 

16 Run Augmented Design

12. [テーブルの作成]をクリックすると計画のデータテーブルが生成され、元の実験における結果と、追加された実験の計画が表示されます。

拡張計画の分析

拡張計画の例で、追加実験を実施してその結果も記録したと仮定し、その実験結果を分析してみましょう。

1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Design Experiment」フォルダの「Reactor Augment Data.jmp」を開きます。

目的は、「反応率(%)」を最大化することです。このデータテーブルでは、列の「応答変数の限界」プロパティが[最大化]に設定されています。下限と上限は、それぞれ90、100に設定されています。

図6.5 「反応率(%)」列の「応答変数の限界」列プロパティ 

Response Limits Column Property for the Percent Reacted Column

2. データテーブルのテーブルパネルで、「モデル」スクリプトの横にある緑の三角ボタンをクリックします。

「モデルのあてはめ」ウィンドウが、すべての主効果と2因子間交互作用が効果として入力された状態で表示されます。

3. あてはめの「手法」を[標準最小2乗]から[ステップワイズ法]に変更し、[実行]をクリックします。

4. 「ステップワイズ回帰の設定」パネルで、「停止ルール」のメニューから[閾値p値]を、「方向」のメニューから[変数増減]を、それぞれ選択します。「変数を追加するときのp値」に「0.05」を、「変数を除去するときのp値」に「0.05」を入力します。

5. 「現在の推定値」パネルで、すべての主効果(「送り速度」から「濃度」まで)の「追加」チェックボックスを選択します。

図6.6 ステップワイズ回帰が終了したモデル 

Completed Stepwise Model

6. [実行]をクリックします。

ステップワイズ回帰が主効果から始まり、p値を基準とした検索が行われ、その結果、3つの主効果と2つの交互作用の項が得られます。「ステップワイズ回帰の設定」パネルで、[モデルの作成]をクリックします。

「モデルのあてはめ」プラットフォームが起動し、ステップワイズ法で作成したモデルをあてはめることができます。

7. [実行]をクリックします。

図6.7 予測モデルの分散分析の数値と「あてはまりの悪さ」 

Prediction Model Analysis of Variance and Lack of Fit Tests

「予測値と実測値のプロット」から、モデルが全体として有意であることがわかります(p値<0.0001)。「予測値と実測値のプロット」と、「あてはまりの悪さ(LOF)」のどちらからも、モデルの間違いを示す証拠が見当たりません。「効果の要約」レポートによると、「触媒」が最も有意な効果であることがわかります。

8. 「予測プロファイル」の赤い三角ボタンをクリックし、[最適化と満足度]>[満足度の最大化]を選択します。

図6.8 最大の反応率(%) 

Maximum Percent Reacted

予測プロファイルを見ると、「触媒」「温度」が高く、「濃度」が低く設定されたときに、「反応率(%)」が最大になることがわかります。この最適な設定では、「反応率(%)」の推定値が95.7へと上昇します。満足度プロファイルは、応答の予測値が応答変数の限界の外側にある領域では傾斜のない状態になっています。

より詳細な情報が必要な場合や、質問があるときは、JMPユーザーコミュニティで答えを見つけましょう (community.jmp.com).