コンピュータ実験の分野で、ラテン超方格計画に代わって使用できる方法として、最大エントロピー計画が挙げられます。ラテン超方格法による計画計画は、Gauss過程モデルと合わせてよく使用される計画です。コンピュータシミュレーションの専門家の間では、座標軸上へ射影した点が一様に分布するという理由でラテン超方格法が好まれます。
しかし、図21.20の例からわかるとおり、ラテン超方格法では、最適なSpace Filling計画を作成できるとは限りません。この例は、ラテン超方格法による2因子、実験数16の計画です。因子の水準は-1から1の間に設定されています。2因子のプロットを見ると、この計画には空白の領域があることがわかります。特に、X1が0で、かつ、X2が-1である付近の空白が目立ちます。
図21.20 ラテン超方格法による2因子計画
最大エントロピー計画は、実験に含まれる情報量を最適化する計画です。詳細については、この後の「技術的な注」を参照してください。因子水準を-1から1の間に設定した場合、図21.21の2因子の最大エントロピー計画を見ると、図21.20のラテン超方格法より領域が均一に覆われています。Space Filling計画における均一性は、実験回数が増えるに従って向上します。
図21.21 2因子の最大エントロピー計画
技術的な注: 最大エントロピー計画は、該当の計画におけるShannonの情報量(Shewry and Wynn(1987))を最大化します。その際、データは平均値m、分散行列s2 Rの正規分布に従うと仮定されます。ここで、
は、2つの計画点、xiおよびxjにおける応答値の相関を示します。最大エントロピー計画を求める計算では、計画から計算される相関行列の行列式である|R|を最大化します。xiとxjが遠く離れている場合、Rijは0に近く、xiとxjが互いに近い場合、Rijは1に近くなります。