予測分散プロファイルでは、計画領域のうち、予測値のばらつきが大きくなるのはどこか、小さくなるのはどこかを確認できます。予測分散は小さい方が望ましいです。予測分散が最大となる因子設定を見つけるには、[予測分散の最大化]オプションを使用てください。予測分散の最大化を参照してください。
予測分散プロファイルは、相対的な予測分散をプロットしたものです。他の因子の値を固定したときの、各因子における予測値の相対的な分散が描かれています。図15.18は、「Design Experiment」フォルダにある「Bounce Data.jmp」データテーブルの予測分散プロファイルです。
図15.18 予測分散プロファイル
(相対的ではなく)実際の予測分散は、相対的な予測分散に誤差分散を掛け合わせて算出されます。実験を行うまでは、誤差分散がわからないので、予測分散も不明です。しかし、実際の予測分散を誤差分散で割った比は、誤差分散には依存しません。この比は、相対的な予測分散と呼ばれ、計画と因子設定にのみ依存します。そのため、データを取得する前に計算することができます。相対的な予測分散を参照してください。
実験を行い、最小2乗法でモデルをあてはめれば、あてはめたモデルの平均2乗誤差(MSE; Mean Square Error)によって誤差分散が推定されます。実際のデータから計算される予測分散は、相対的な予測分散に誤差分散を掛けたものです。
予測分散は、計画領域全体で小さいのが理想です。予測分散は、一般に標本サイズが大きくなるにつれて小さくなります。2つの計画を比較する場合は、予測分散プロファイルを並べて検討します。予測分散が平均的に小さい方が優れた計画といえます。
相対的な予測分散の最大値によって、計画を評価したり、比較したりできます。「予測分散プロファイル」の横にある赤い三角ボタンをクリックし、[予測分散の最大化]を選択してください。そうすると、JMPで使用される満足度関数によって、相対的な予測分散が最大化されます。このときに「予測分散プロファイル」に表示される最大分散値は、相対的な予測分散が最悪になる(つまり、計画領域のなかで予測分散が最も大きくなる)ときのものです。予測分散が最大となる因子設定は、複数、存在する場合があります。
図15.19は、[予測分散の最大化]を選択したときの予測分散プロファイルです。このプロットでは「Design Experiment」フォルダの「Bounce Data.jmp」データテーブルを使っています。相対的な予測分散の最大値は、「シリカ」 = 0.7、「硫黄」 = 1.8、「シラン」 = 40のときに1.3958となります。ただし、他の因子設定においても、この最大値になる可能性がある点には注意してください。たとえば、「シリカ」 = 1.7、「硫黄」 = 2.8、「シラン」 = 60の計画点も、予測分散が1.3958です。曲面プロファイルを使って予測分散を評価する方法については、予測分散曲面を参照してください。
図15.19 最大の分散を示す予測分散プロファイル