まれなイベントの管理図(rare event chart)は、工程における発生頻度の極めて低い事象(希少事象)に関するデータを見るための管理図です。希少事象を従来の管理図で見ることは、あまり効果的ではありません。従来の管理図は希少事象を取り扱うのが難しかったのですが、まれなイベントの管理図はその問題を克服するために提案されました。管理図ビルダーでは、まれなイベントの管理図を2種類(G管理図とT管理図)作成できます。G管理図とT管理図の違いは、まれなイベント間の間隔を表す数値が異なります。G管理図は、あるイベント(事象)とその次のイベントまでにおける、製品個数などの頻度扱います。一方、T管理図は、あるイベントと別のイベントまでにおける時間間隔を扱います。
シグマの計算に使用される分布 |
管理図の種類 |
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負の二項分布 |
G管理図 |
Weibull分布 |
T管理図 |
G管理図は、まれに発生する不具合や不適合が起こってから、次に似たような不具合や不適合が起こるまでの間に生じる、製品個数などの頻度を扱います。G管理図の各点は、希少事象の発生から発生までの間のユニット数です。たとえば、商品が毎日製造される生産現場では、生産ラインの予定外停止が起きることがあります。この場合、ラインが停止してから次に停止するまでの間に製造されたユニット数をプロットしたものが、G管理図です。
G管理図では、上限管理限界の上にある点は、ある不具合の発生から次の不具合の発生までのユニット数が増えていることを示します。まれに発生する不具合や不適合が起きてから、次に似たような不具合が起こるまでの間のユニット数が増えることは、望ましいことです。そのため、G管理図の場合、上側管理限界を超えて管理外と判定された点は、一般に望ましいことであると考えられます。
T管理図は、ある不具合や不適合が発生してから、次の不具合や不適合が生じるまでの時間を表します。T管理図のデータは、希少事象が前回発生してから次に同じ希少事象が発生するまでに経過した時間です。T管理図では、負でない整数データ、日付・時刻のデータ、時間間隔数を表すデータを扱います。稀にしか生じないデータにおいて、不具合や不適合が生じた回数を従来の計数値管理図でプロットすると、ゼロに点が密集し、たまに1に点が現れるだけです。そのため、多数の点が管理外と判定されてしまいます。T管理図を使えば、その問題は回避できます。管理図ビルダーでは、T管理図のデータは、整数値でなければいけません。
T管理図では、上側管理限界を超えている点は、ある不具合の発生から次の不具合の発生までの時間が長くなっていることを示します。これは不具合の発生率が低下していることを意味します。そのため、T管理図の場合、上側管理限界を超えて管理外と判定された点は、一般に望ましいことであると考えられます。