カスタム実験計画の結果を、回帰モデルを使って評価します。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Design Experiment」フォルダの「Wine Data.jmp」を開きます。
2. 「テーブル」パネルで、「モデル」スクリプトの横にある緑の三角ボタンをクリックします。
図4.10 ワインの実験における「モデルの指定」ウィンドウ
ブロック因子の「判定者」が、固定効果として追加されていることに注目してください。5人の判定者は母集団から無作為に(ランダムに)抽出されたのではなく、特定の人を意図的に選んだので、これは適切な設定です。大きな母集団から無作為に判定者を抽出した場合、ブロック因子は変量効果になります。
3. [実行]をクリックします。
このカスタム計画の例におけるモデルの出力を以下に示します。
図4.11 モデルのあてはめの結果(一部)
次のことを注意してください。
• 「予測値と実測値のプロット」には、あてはまりの悪さを示す証拠が見当たりません。
• 「予測値と実測値のプロット」とその下のp値から、モデルが有意であることがわかります。
• 「効果の検定」レポートから、モデル項のうち7つが、0.05の有意水準において有意であることがわかります。「畑」・「温度」・「樽齢」は有意ではありません。
• 「効果の要約」レポートには、効果が有意な順に表示されています。対数価値の値が大きいほど、p値がより小さく、より有意になっています。
ここでは、カスタム計画の結果のモデルから重要でないと判断した効果を削除し、説明変数をより減らしたモデルにしてみましょう。
1. 「効果の要約」レポートで、Ctrlキーを押しながら「温度」・「畑」・「樽齢」を選択します。
2. [削除]をクリックします。
選択した効果がレポートから削除されます。
説明変数を減らしたモデルの「予測値と実測値のプロット」を見ても、あてはまりの悪さに関する問題は見当たりません。また、「効果の要約」と「効果の検定」の各レポートから、残りの7つの項が0.05の水準において有意であることがわかります。予測プロファイルを使って、モデルをさらに検討してみましょう。
Figure 4.12は、「予測プロファイル」です。応答の目標は[最大化]に設定されていて、下側限界は0、上側限界は20です。限界の値は、計画の作成時に設定されたもので、「カスタム計画」テーブルの「評価」列には「応答変数の限界」列プロパティが保存されています。「予測プロファイル」は、「応答変数の限界」の情報を使って満足度関数を作成します。満足度関数は、Figure 4.12の上段の右端に表示されています。下の段には、満足度のトレースが表示されます。
上段の最初の6つのプロットは、予測モデルのトレースを描いています。各プロットに描かれている線は、赤い縦線の位置に他のすべての因子を固定した場合に、該当する因子に対して「評価」の予測値が変化する様子を表しています。デフォルトでは、カテゴリカル因子の水準は最小値に設定されています。因子の設定を変化させることで、ワインの「評価」の予測値がどのように変化するかを確認できます。予測値の信頼区間は、「評価」の平均予測値に対するものです。
「判定者」因子がプロファイルに表示されていないことに注目してください。これは、「判定者」がブロック変数だからです。変動を説明するために「判定者」をモデルに含めていますが、「判定者」は因子設定の最適化において重要ではありません。この例での「評価」の予測値は、評価の予測値を判定者全員において平均したものになっています。
図4.12 縮小モデルのプロファイル
カスタム計画の結果から、予測プロファイルを使用して最適な設定見つけることができます。判定者の「評価」を最大化する設定を見つけましょう。
1. 「予測プロファイル」の赤い三角ボタンをクリックし、[最適化と満足度]>[満足度の最大化]を選択します。
「予測プロファイル」内の赤い縦の点線が、各因子の最適な設定に移動します。最適な設定では、評価の予測値が19.925となります。一般的には、応答を最適化する因子設定は複数存在する場合があります。
図4.13 因子設定を最適化した予測プロファイル
2. すべての実験における評価の予測値を確認するには、予測式を保存します。「応答 評価」の赤い三角ボタンをクリックし、開いたメニューから[列の保存]>[予測式]を選択します。
データテーブルに、「予測式 評価」という列が追加されます。行33の実験では、「判定者」5が評価20を与えています。この実験の「判定者」5の評価の予測値は19.550です。なお、行33の実験は、最適な因子設定での実験になっています。最適な因子設定での「予測プロファイル」の予測値19.925は、この因子設定における判定者5人全員の予測値を平均したものです。
プロファイルでは、因子をロックして特定の状況下での最適設定を探索することができます。応答を最大化してみると、Dijon種を使った方が評価が高くなることがわかりました(Figure 4.13)。しかし、Bernard種を栽培している畑にDijon種の苗を新たに植えるのは、コスト面から見て現実的ではありません。そのため、Bernard種における最適な設定と、そのときの評価の予測値を調べる必要があります。
1. 「予測プロファイル」の「品種」プロットで、赤い縦の点線を「Bernard」にドラッグします。
2. Ctrlキーを押しながら、いずれかの「品種」プロットをクリックします。
「因子設定」ウィンドウが開きます。
3. [因子設定のロック]を選択して[OK]をクリックします。
4. 「予測プロファイル」の赤い三角ボタンをクリックし、[最適化と満足度]>[満足度の最大化]を選択します。
図4.14 Bernard種の最適設定を示した予測プロファイル
モデルに交互作用項を含めていないので、最適な設定は変化しません。品種はBernardに固定した場合、最適な設定における評価の予測値は17.975になります。
「判定者」の水準のプロファイルのトレースを見るには、次の手順に従います。
1. 「予測プロファイル」の赤い三角ボタンをクリックし、[因子グリッドのリセット]を選択します。
「因子設定」ウィンドウが開き、「判定者」を含むすべての因子の列が表示されます。「判定者」の下にある「表示」ボックスにチェックマークがついていません。そのため、「判定者」は「予測プロファイル」に表示されません。
2. 「判定者」の下にある[表示]ボックスを選択します。
3. 「判定者」の下にある[因子設定のロック]ボックスの選択を解除します。
4. [OK]をクリックします。
プロファイルが更新され、「判定者」のプロットが表示されます。
5. 「判定者」の上にあるいずれかのプロットをクリックします。
図4.15 縮小モデルのプロファイルに「判定者」を表示したところ
赤い縦の点線が表示されます。各判定者のトレースを見るにはこの線をドラッグします。「品種」が「Bernard」にロックされたままになっていることに注意してください。「品種」のロックを解除するには、Ctrlキーを押しながら、いずれかの「品種」プロットをクリックします。「因子設定」ウィンドウが開いたら、[因子設定のロック]の選択を解除してください。