この例では、ブロック変数を含む決定的スクリーニング計画を使用します。原材料に制約があり、先ほどの抽出実験を、2つのロットの材料を用いて行う必要があるとします。ブロック変数は、ロットのばらつき考慮することができます。
抽出因子とその設定は、「Extraction Factors.jmp」サンプルデータにまとめられています。ブロック因子を含む決定的スクリーニング計画は、次のように作成します。
1. [実験計画(DOE)]>[決定的スクリーニング]>[決定的スクリーニング計画]を選択します。
2. 「応答名」の欄の「Y」をダブルクリックし、「収率」と入力します。
3. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Design Experiment」フォルダの
「Extraction Factors.jmp」を開きます。
4. 「決定的スクリーニング計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[因子のロード]を選択します。
「因子」セクションに、因子名と範囲が入力されます。
5. [続行]をクリックします。
「計画のオプション」セクションが開きます。ここで、ブロック構造を指定できます。
6. [ブロック因子を追加(2乗項を推定するための中心点も追加)]を選択します。
「ブロックの数」は「2」のままにします。
ここで作成している計画は、後の例で用いる「Extraction2 Data.jmp」サンプルデータのものです。このサンプルデータは「追加の実験回数」をゼロにして作成しています。通常は、元の決定的スクリーニング計画に実験を4回だけ追加したものを用いることを強く推奨しますが、この例では実験を追加していないものを用います。
7. 「追加の実験回数」で「0」を選択します。
8. [計画の作成]をクリックします。
「決定的スクリーニング計画」ウィンドウが更新されて、「計画」セクションと「計画の評価」が表示されます。
「因子」と「計画」に「ブロック」が追加されていることを確認してください。
9. 「因子」で「ブロック」をダブルクリックし、「ロット」とタイプします。
「出力オプション」パネルで、「実験の順序」に[ブロック内でランダム化]が選択されていることを確認してください。
10. [テーブルの作成]をクリックします。
メモ: 実際に作成されるデータテーブルにおける実験の順序は、Figure 8.13と異なったものになります。
図8.13 ブロック因子を含めた決定的スクリーニング計画
実験1がロット1の中心点、実験14がロット2の中心点になっています。
ここまでの操作により、実験を実施し、計画のデータテーブル(Figure 8.13)の「収率」列にデータを記録する準備ができました。「Extraction2 Data.jmp」サンプルデータに、この実験の結果が含まれています。なお、「Extraction2 Data.jmp」サンプルデータの実験の順序は、Figure 8.13とは異なります。
JMPの「ステップワイズ」プラットフォームの[すべてのモデル]オプションを使えば、すべての2次効果を探索することができます。また、変数増加法によるステップワイズ回帰を使用するという方法もあります。ただし、これらの標準的な手法では、応答に影響している効果(有効な効果; active effect)を見落とすことがあります。そのような理由から、「決定的スクリーニングのあてはめ」プラットフォームを使用することにします。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Design Experiment」フォルダの「Extraction2 Data.jmp」を開きます。
2. 計画のデータテーブルの「テーブル」パネルで、「決定的スクリーニングのあてはめ」スクリプトの横にある緑の三角ボタンをクリックします。
図8.14 「決定的スクリーニングのあてはめ」レポート
「組み合わせたモデルのパラメータ推定値」レポートに、応答に影響している可能性が高い効果が表示されます。
3. 「組み合わせたモデルのパラメータ推定値」レポートの下にある[モデルの実行]ボタンをクリックします。
すると、応答に影響している可能性が高い効果が含まれたモデルが最小2乗法によってあてはめられます。
図8.15 「最小2乗法によるあてはめ」レポート
「予測値と実測値のプロット」には、あてはまりの悪さを示す証拠が見当たりません。「効果の要約」レポートからは、「メタノール*エタノール」と「メタノール*メタノール」が有意でないこともわかります。これらの効果はモデルから取り除くことにします。
4. 「効果の要約」レポートで「メタノール*エタノール」と「メタノール*メタノール」を選択し、[削除]をクリックします。
図8.16 最終的な重要効果の組み合わせ
その他の効果はすべて有意です。結論として、「これらの効果が応答に影響している効果であろう」と言うことができます。