「応答のスクリーニング」プラットフォームを使用して、工程の変化によりどの応答特性に違いが生じたかを調べてみましょう。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Probe.jmp」を開きます。
2. [分析]>[スクリーニング]>[応答のスクリーニング]を選択します。
3. 「Responses」列グループを選択し、[Y, 応答変数]をクリックします。
4. 「工程」を選択し、[X]をクリックします。
5. 「詳細オプション」の横にあるグレーの三角ボタンをクリックします。
6. 「最大対数価値」の横のボックスに「100」と入力します。
100以上の対数価値(-log10(p-value))は非常に小さなp値に対応しています。「最大対数価値」の値を設定することで、報告される対数価値の値が制限されるため、プロットのスケールを調整できます。
7. [OK]をクリックします。
レポートに、p値の結果を含む表とタブ形式の3つのプロットが表示されます。デフォルトでは、「FDR P値 プロット」が表示されています。
「FDR P値 プロット」には、384個の各検定について、「FDR P値」(FDR調整したp値)と、「p値」(生のp値)がプロットされています。グラフのY軸がこれら2種類のp値を、X軸が「分数順位」を表しています。「p値」は、工程に対する1つのYの通常のp値です。「FDR P値」は、偽発見率(false discovery rate)を制御するように調整されたp値です。この例では、偽発見率は0.05になっています。「FDR P値」は青、「p値」は赤でプロットされます。「分数順位」は、「FDR P値」を小さい方から順番に(有意性が高い順で)順位付けしています。
グラフにおける青の水平線と赤の右上がりの直線は両方とも調整したp値に対する5%の閾値を示します。FDR調整p値が青い線を下回る場合、FDRを5%に抑えたなかで有意となっています。同じように、通常のp値が赤い線を下回る場合、FDRを5%に抑えたなかで有意となります。このように、プロットのどちらのp値を見ても、FDR法で有意かどうかを確認できます。
図24.2 「工程」に対する384回の検定の「応答のスクリーニング」レポート
「FDR P値 プロット」から、60%以上の検定で有意差が認められていることがわかります。未調整のp値だと「有意差あり」と判断されるのに、FDR調整したp値だと「有意差なし」となる検定は、赤い線より上で、青い線より下にある赤い点が該当します。そのような検定は少ないことが分かります。これらの検定は、「結果の表」を0.05より大きい最初のFDR P値が表示されるまで下方向にスクロールしても見ることができます。それに対応する通常のp値は0.03361です。
図24.3 「応答のスクリーニング」レポートの検定
「工程」に対して有意差が認められる特性を見極めるためには、プロット上で該当する点の周りをドラッグし、四角く囲みます。すると、これらの点に対応する行が「結果の表」で選択されます。その第1列を見れば、該当する応答変数の変数名がわかります。
「結果の表」には、「Responses」グループの各応答につきそれぞれ1行、計387個の行があります。応答は第1列(「Y」)に含まれています。各応答変数が「X」列(つまり、「工程」)の効果に照らして検定されています。「結果の表」の最後の3行には欠測値が含まれていることに注意してください。そのため、このプロットでは384個の検定が報告されています。最後の3行に対応する応答列には、測定値が定数になっているため、分析は実行されていません。
残りの列には、「Y」と「X」の検定に関する情報が記録されています。この例で使われている検定は、一元配置の分散分析です。この表には他にも、p値、対数価値、FDR調整したp値、FDR対数価値が含まれています。この表において、各種の統計量を並べ替えたり、行を選択したり、目的の統計量のグラフを作成したりすることができます。
起動ウィンドウで「最大対数価値」を100に設定したため、対数価値とFDR 対数価値の値のうち、p値が1e-100以下である値は「100」として表示されています。また、FDR 対数価値の値が2を超えるセルは、背景に色が付けられます。
レポートと「p値」データテーブルの詳細については、「応答のスクリーニング」レポートを参照してください。