誤差因子を含む状況での最適化は、予測プロファイル、等高線プロファイル、カスタムプロファイル、配合プロファイルで使用できます。工程変数にばらつき(変動)がある状況でも、仕様限界内(許容範囲内)に収まる製品を安定して製造できるような設計を、「ロバスト設計」と言います。実験では制御できる因子のなかには、実際の現場では制御できないばらつきをもつ因子もあります。一般的に、因子がもつばらつきは、応答に対して影響を与えます。応答に伝達されるばらつきを、伝達変動(transmitted variation)と呼びます。このようなばらつきのある因子を、「誤差因子」といいます。いくつかの誤差因子は、環境誤差因子など、実際の現場において、まったく制御できない因子です。また、いくつかの誤差因子は、現場において、平均は自分が望むものに変更できるかもしれないが、ばらつきが生じることは避けられない因子です。例えば、異なる製造段階から生じる中間生産物に関する因子では、現場では、平均は変更できても、どうしてもばらつきが生じてしまいます。
工程をロバストにするには、誤差因子に関して応答曲面が最も平坦になるところに設定を合わせ、誤差因子が工程に及ぼす影響を最小限に抑えるアプローチが有効です。「応答曲面が最も平坦になるところ」は、数学的に言えば、各応答を各誤差因子について一次微分した式(1階導関数)が0になるようなところです。JMPのプロファイルには、微分式を自動的に計算する機能もあります。
図2.10 誤差因子の例
誤差因子のあるモデルは、次の手順で分析します。
1. 適切なモデルを([モデルのあてはめ]などで)あてはめます。
2. [保存]>[予測式]コマンドを使ってモデルをデータテーブルに保存します。
3. [プロファイル]を起動します([グラフ]メニュー)。
4. 予測式に[Y, 予測式]の役割を割り当て、誤差因子に[誤差因子]の役割を割り当てます。
5. [OK]をクリックします。
作成されたプロファイルには、応答関数を誤差因子で微分した式が表示されています。微分式に対する満足度関数は、0のときに満足度が最大になるように設定されています。
6. [プロファイル]メニューから[最適化と満足度]>[満足度の最大化]を選択します。
これにより、誤差因子から生じる伝達変動を最小に抑えながら、因子の最適設定が探し出されます。