公開日: 09/19/2023

計数値の管理図

管理図ビルダーでは、計数値管理図も作成することができます。計数値管理図は度数データに適しています。計数値管理図は、二項分布やPoisson分布に基づいています。度数はサブグループごとに測定されるため、複数の管理図を比較するときは、サブグループごとのアイテム数に大きな差がないことを確認する必要があります。計数値管理図は、計量値管理図と同じように、サブグループの標本統計量によっていくつかの種類に分類されています。

表3.1 計数値管理図の種類

シグマの計算に使用される分布

統計量: 割合

統計量: 度数

二項分布

P管理図、Laney P管理図

NP管理図

Poisson分布

U管理図、Laney U管理図

C管理図

管理図ビルダーは、選択した変数に基づいて自動的に管理図を作成します。その初期の管理図が作成された後、メニューから各種のオプションを選択し、管理図の種類、表示する統計量、図の表示形式を変更できます。

P管理図は、各サブグループの不適合品率をプロットしたもので、標本サイズが一定でなくても構いません。P管理図が扱うデータは、各サブグループがNi個のアイテムから成り、各アイテムが適合品か不適合品かで判断されているデータです。1サブグループにおける不適合品数は、Ni以下でなければいけません。

Laney P管理図には、標準的なP管理図と同じ点がプロットされます。しかし、管理限界の計算に、移動範囲で調整されたシグマが使われます。標準的なP管理図では、管理限界の計算には二項分布が使われます。しかし、実際のデータにおける分散が、二項分布から推定される分散よりも過大になることがあります。そのような過大分散が生じている場合、標準的なP管理図は誤警報が多くなります。Laney P管理図は、その過大分散の問題に対処します。Laney P管理図は、特にサブグループのサイズが非常に大きい場合に役に立ちます。

NP管理図は、各サブグループの不適合品数をプロットします。NP管理図が扱うデータは、各サブグループがNi個のアイテムから成り、各アイテムが適合品か不適合品かのいずれかに判断されているデータです。サブグループの不適合品数は、Ni以下でなければいけません。

C管理図は、各サブグループの不適合数をプロットしたもので、各サブグループは通常、1つのユニット(検査単位)から成ります。

U管理図は、各サブグループの1ユニット(1つの検査単位)あたりの不適合数をプロットしたもので、各サブグループの検査単位数は一定でなくても構いません。

Laney U管理図には、標準的なU管理図と同じ点がプロットされます。しかし、管理限界の計算に、移動範囲で調整されたシグマが使われます。標準的なU管理図では、管理限界の計算にはPoisson分布が使われます。しかし、実際のデータにおける分散が、Poisson分布から推定される分散よりも過大になることがあります。そのような過大分散が生じている場合、標準的なU管理図は誤警報が多くなります。Laney U管理図は、その過大分散の問題に対処します。Laney U管理図は、特にサブグループのサイズが非常に大きい場合に役に立ちます。

メモ: 一般に、Laney管理図は、課題分散が生じておらず標準的なP管理図やU管理図が適切な状況で用いても、それほど問題は生じません。過大分散がない場合、移動範囲から推定される過大分散パラメータは1に近くなり、結果として標準的なP管理図やU管理図と同じような管理限界となります。一方で、もしも過大分散があるならば、標準的なP管理図やU管理図は不適切であり、Laney管理図の方が工程管理に適しています。「過大分散」は、二項分布やPoisson分布で想定される理論的な分散よりも、データの実際の分散が大きい状況を指します。

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