公開日: 09/19/2023

離散分布のあてはめの統計的詳細

ここでは、「一変量の分布」プラットフォームの[離散分布のあてはめ]メニューにあるオプションについて説明します。

Poissonのあてはめ

Poisson分布では、尺度パラメータl > 0が推定されます。

確率関数: ここに式を表示 ただし 0 λ < ; x = 0,1,2,...

E(x) = l

Var(x) = l

Poisson分布は離散分布なので、分布関数は整数ごとに変化する階段関数になります。

負の二項のあてはめ

負の二項分布は、特定の失敗回数に達するまでの成功回数をモデル化するのに便利です。以下のパラメータ表現では、平均パラメータlおよび過分散パラメータsが含まれています。

確率関数: ここに式を表示

E(x) = l

Var(x) = l + sl2

ここで、Γ(·)は、ガンマ関数です。

負の二項分布とガンマPoisson分布の関係

負の二項分布はガンマPoisson分布と同等です。ガンマPoisson分布は、平均mが異なる複数のPoisson分布から、データが生成されているときに役立ちます。

ガンマPoisson分布は、x|mが平均mのPoisson分布に従い、その平均がパラメータ(a,t)のガンマ分布に従うという仮定から導出できます。ガンマPoisson分布には、l = ats = t+1の2つのパラメータがあります。パラメータsは過分散パラメータです。s > 1の場合は、過大分散、つまり通常のPoisson分布よりも分散が大きくなります。s = 1の場合、xの分布は平均lのPoisson分布になります。

確率関数: ここに式を表示 ただし 0 < l; 1 ≤ s; x = 0,1,2,...

E(x) = l

Var(x) = ls

ここで、Γ(·)は、ガンマ関数です。

ガンマPoisson分布は、snegbin = (sgp - 1) / lgpの負の二項分布と同等です。

「Samples/Scripts」フォルダの中の「demoGammaPoisson.jsl」を実行すると、パラメータlsのガンマPoisson分布とパラメータlのPoisson分布を比較できます。

ゼロ強調 Poissonのあてはめ

ゼロ強調 Poisson分布には、尺度パラメータ(l > 0)と、ゼロ強調パラメータ(p)があります。

確率関数: ここに式を表示

E(x) = (1 - p)l

Var(x) = l(1 - p)(1 + lp)

ゼロ強調 負の二項のあてはめ

ゼロ強調 負の二項分布には、尺度パラメータ(l > 0)、過分散パラメータ(s > 0)、ゼロ強調パラメータ(p)があります。

確率関数: ここに式を表示

E(x) = (1 - p)l

Var(x) = l(1 - p)[1 + l(s + p)]

二項のあてはめ

[二項のあてはめ]オプションでは、一定の標本サイズか、標本サイズを含む列のいずれかを指定することができます。

確率関数: ここに式を表示 ただし 0 p 1; x = 0,1,2,...,n

E(x) = np

Var(x) = np(1-p)

上の式で、nは、独立した試行の回数を示します。

メモ: 二項分布のパラメータに対する信頼区間の計算には、スコア信頼区間が使用されています。Agresti and Coull(1998)を参照してください。

ベータ二項のあてはめ

ベータ二項分布は、確率πが異なる複数の二項分布から、データが生成されているときに役立ちます。たとえば、複数の製造ラインにおける不適合品の個数などが挙げられます。この場合、不適合となる確率(π)は、製造ラインによって異なると考えられます。

ベータ二項分布は、x|pが二項分布(n,p)に従い、pがベータ分布(a,b)に従うという仮定から導出できます。ベータ二項分布には、p = a/(a+b)とd = 1/(a+b+1)の2つのパラメータがあります。パラメータdは、過分散パラメータです。d > 0の場合は、過大分散、つまり通常の二項分布よりも分散が大きくなります。d < 0の場合は、過小分散です。d = 0の場合、xは二項分布(n,p)に従います。ベータ二項分布は、n 2の場合にのみ、あてはめることができます。

確率関数: ここに式を表示

ただし ここに式を表示; ここに式を表示; x = 0,1,2,...,n

E(x) = np

Var(x) = np(1-p)[1+(n-1)d]

ここで、Γ(·)は、ガンマ関数です。

前述のとおり、x|πは二項分布(n,π)に従い、πはベータ分布(a,b)に従うと仮定されています。このプラットフォームでは、p = a/(a+b)とd = 1/(a+b+1)のパラメータ推定値が計算されます。abの推定値は、次式で計算できます。

ここに式を表示

ここに式を表示

ただし、dの推定値が0の場合は、上記の式が使用できません。その場合、ベータ二項分布は、確率pの二項分布となり、ここに式を表示がそのpの推定値となります。

なお、ベータ二項分布におけるパラメータの信頼区間は、プロファイル尤度法によって計算されます。

「Samples/Scripts」フォルダにある「demoBetaBinomial.jsl」を実行すると、nを20に固定しパラメータpを可変として、二項分布と過分散パラメータdのベータ二項分布を比較できます。

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