「多変量管理図」の赤い三角形ボタンのメニューで、[T2乗の分割]オプションを使用すると、主成分に基づいた管理図を作成することができます。これは、監視している特性の数が多い場合に有効です。測定値における変動の大部分が少数の主成分で説明される場合、それらの少数の主成分から作成した多変量管理図の方が、元データの全次元に基づく管理図より、感度が良くなりやすいです。
ヒント: T2統計量の分解には、「モデルに基づく多変量管理図」プラットフォームの使用を検討してください。モデルに基づく多変量管理図を参照してください。
また、[T2乗の分割]オプションは、共分散行列が悪条件(ill-conditioned)になる場合にも役立ちます。このような場合、固有値が小さい主成分(変動に対する寄与率が低い主成分)が、T2に大きく影響し、間違った結果に導く可能性があります。工程の振る舞いを調べるときは、こうした重要度の低い成分は無視した方が得策です。
[T2乗の分割]オプションを選択すると、採用する主成分の次元を指定するウィンドウが表示されます。
このオプションを使用すると、「大きな主成分のT2乗」と「小さな主成分のT2乗」という2つの多変量管理図が作成されます。たとえば、オプションの初回選択時に主成分の次元としてrを入力した場合、「大きな主成分のT2乗」管理図は、大きいものからr個の固有値に対応するr個の主成分に基づいて作成されます。この場合のrは、「主成分分析: 共分散行列から」レポートの「寄与率」列と「累積寄与率」列から判断できる、変動の大半を説明している主成分の次元です。「小さな主成分のT2乗」管理図は、残りの主成分に基づいて作成されます。
サブグループごとにおいて、「大きな主成分のT2乗」管理図のT2値と、「小さな主成分のT2乗」管理図のT2値の和は、「すべての主成分のT2乗」レポートに示される総T2値に等しくなります。分割したT2値の計算方法の詳細については、Kourti and MacGregor(1996)を参照してください。