反復測定データの分析などでは、多変量検定を一変量型に置き換えても、正確な検定が実行できる場合があります(Huynh and Feldt 1970)。多変量なのに一変量検定が妥当であるのは、次の条件を満たす場合です。
• 変換のためのM行列が正規直交行列であること(つまり、M'M=単位行列となること)。
• M行列における各変換の係数が合計してゼロになっていること。
• 球面性の条件が満たされていること。球面性の条件とは、M行列で変換した後の応答に相関がなく、かつ、応答の分散が等しいことを指します。つまり、M'SM(Sは、Y変数の分散共分散行列)が、単位行列に定数を掛けた行列になることが条件です。
上のような条件が成立している場合、E行列とH行列の対角要素を合計したものが、一変量のF検定における分子平方和および分母平方和として使われます。条件が成立していない場合は、エラーメッセージが表示されます。「Golf Balls.jmp」の分析では、単位行列をM行列として指定しました。単位行列は、列合計をゼロにした後、直交正規化すると、フルランクではなくなります。そのため、一変量検定は行われません。
一変量検定と球面性検定の例については、一変量検定と球面性検定の例を参照してください。