検出力は、「モデル」アウトラインに一覧されている効果に対して計算されます。検出力が計算される効果には、連続変数、離散数値、カテゴリカル、ブロック、共変量、配合の因子が含まれます。また、検出力は、個々のモデルパラメータに対してと、効果全体に対して計算されます。検出力の計算については、付録「技術的詳細」の「検出力の計算」(714ページ)を参照してください。
「Coffee Data.jmp」の検出力分析は、「Design Experiment」フォルダにある「Coffee Data.jmp」データテーブルの計画の「検出力分析」アウトラインです。「モデル」スクリプトで指定されているモデルは、主効果のみを含むモデルです。
図15.14 「Coffee Data.jmp」の検出力分析
「検出力分析」レポートを最初に開くと、その冒頭部分には「係数の予想値」のデフォルトの値が表示されています。「Coffee Data.jmp」の検出力分析を参照してください。これらのデフォルトの値は、デルタに基づいて求めた値です。詳細については、第 “詳細オプション > 検出力計算のデルタの設定”を参照してください。
「Coffee Data.jmp」の「係数の予想値」における入力の例のような「検出力分析」レポートの冒頭部分で、「係数の予想値」を指定してください。これらの値は、検出したい係数の大きさを表します。
モデル項に対応している係数の値。この値は、検出力の計算に使われます。また、「計画と予測応答」アウトラインの「応答の予想値」列の計算にも使われます。「係数の予想値」列に新しい値を入力し、[係数の予想値に基づき変更]ボタンをクリックすると、「検出力」と「応答の予想値」の列が更新されます。
メモ: 「係数の予想値」のデフォルト値は、連続尺度の効果に対しては、1です。カテゴリカルな効果に対しては、1と-1が交互に現れます。赤い三角ボタンのメニューから[詳細オプション]>[検出力計算のデルタを設定]を選択すると、デルタの値を変更できます。デルタの値を変更すると、「係数の予想値」の値が、それらの絶対値がデルタの半分になるように更新されます。詳細については、第 “詳細オプション > 検出力計算のデルタの設定”を参照してください。
「係数の予想値」列に新しい値を入力し、[係数の予想値に基づき変更]ボタンをクリックすると、「検出力」と「応答の予想値」の列が更新されます。
「Coffee Data.jmp」の「応答の予想値」の「計画と予測応答」アウトラインは、「Coffee Data.jmp」の「係数の予想値」における入力の例で指定した「係数の予想値」に対応しています。
図15.16 「Coffee Data.jmp」の「応答の予想値」
[応答の予想値に基づき変更]をクリックすると、「係数の予想値」列と「検出力」列が更新されます。
「係数の予想値」をモデルの係数として使い、計算した応答値。「応答の予想値」のデフォルト値は、「係数の予想値」のデフォルト値に基づいて計算されています。「応答の予想値」列で新しい値を設定し、[応答の予想値に基づき変更]をクリックすると、「係数の予想値」と「検出力」の列が更新されます。
「応答の予想値」列で新しい値を設定し、[応答の予想値に基づき変更]をクリックすると、「係数の予想値」と「検出力」の列が更新されます。
「Coffee Data.jmp」データテーブルの計画を見てみましょう。ここでは、「濃度」に対する各効果の影響を検出できるかどうかを調べたいとします。「挽き」は2水準のカテゴリカル因子で、「温度」、「時間」、「豆の量」は連続因子、「場所」は3水準のカテゴリカルなブロック因子です。
この例では、「場所」の役割がブロック因子であることは無視します。そして、「場所」が「濃度」に及ぼす効果に興味があるとします。 「場所」は、3水準のカテゴリカル因子であるため、「パラメータ」リストでは2つの項(「場所 1」と「場所 2」)で表されます。
ここで知りたいのは、「濃度」の平均における次のような変化を検出できる確率です。
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「挽き」を「Coarse」(粗い)から「Medium」(中)に変更したときに、平均が0.10だけ変化すること。
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ここでは、有意水準を「0.05」に設定します。また、「濃度」の標準偏差は以前の調査から0.1と分かっているので、それを「RMSEの予想値」として入力します。
値を入力すると、「検出力分析」は「係数の予想値」アウトラインの「係数の予想値」に入力を行ったところのようになります。ここまでで、「有意水準」、「RMSEの予想値」、各「係数の予想値」を指定しています。
「温度」は、-1と1にコード化された水準を持つ連続因子です。「温度は濃度に影響しない」という帰無仮説の検定に対する検出力について考えてみましょう。「係数の予想値」アウトラインの「係数の予想値」に入力を行ったところを見ると、「温度」が最小から最大まで変更したときの応答平均の差が0.10である場合、その差を統計的検定で検出できる確率は0.291に過ぎないことが分かります。
次に、3水準のカテゴリカル因子である「場所」について、効果全体の検定に対する検出力を検討してみましょう。 つまり、「場所は濃度に影響しない」という帰無仮説の検定に対する検出力について検討してみましょう。この検定は、[分析]>[モデルのあてはめ]を実行したときに「効果の検定」レポートでカテゴリカル因子に対して表示される通常のF検定に該当します。(『基本的な回帰モデル』の標準最小2乗に関する章を参照してください。)
この検定の検出力は、[係数の予想値に基づき変更]ボタンのすぐ下に表示されます。「係数の予想値」には、「場所 1」と「場所 2」に対してどちらも0.10を指定しました。この指定によって、これら2つの場所における「濃度」の平均は全体平均を0.10上回ると仮定しています。「場所 1」と「場所 2」に対するこの指定は、「場所 3」における「濃度」の平均が、全体平均よりも0.20だけ下回ることを意味しています。「係数の予想値」アウトラインの「係数の予想値」に入力を行ったところを見ると、検定の検出力が0.888 であることがわかります。