JMP 14.2オンラインマニュアル
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基本的な回帰モデル
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混合モデル
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[混合モデル]手法の統計的詳細
• Kackar-Harvilleの修正
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Kackar-Harvilleの修正
固定効果の共分散行列は、Kackar‐Harvilleの修正を行って求められています。ただし、BLUPの共分散行列と、BLUPと固定効果の間の共分散に対しては、Kackar‐Harvilleの修正は行われません。変量効果に数多くの水準がある場合、BLUPの修正は計算が複雑になり、多くのメモリを必要とするためです。SASシステムのPROC MIXEDでは、DDFM=KENWARDROGERが設定されている場合、固定効果とBLUPの両方にKackar‐Harvilleの修正が行われます。
なお、共分散パラメータに関しての2次微分でゼロではない要素を含む共分散構造に対しては、従来のKenward-Roger調整の計算では2次微分の項が含まれます。この2次微分の項を計算に含めると、標準誤差が縮小してしまうことがあります。さらに、推定値の共分散行列が正定値行列でなくなる場合もあり、また、異なったパラメータ化に関して不変ではありません。JMPで採用されているKenward-Roger調整の1次修正では、調整の計算から2次微分の項を除外しています。一般的に、すべての空間構造およびAR(1)構造では、Kenward-Roger調整において、2次微分でゼロではない要素を含みます。
JMPでは、Kenward‐Rogerの1次修正が採用されています。SASの結果と比べると、以下のような違いがあります。
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固定効果パラメータしかない線形結合の標準誤差は、PROC MIXED DDFM=KENWARDROGER(FIRSTORDER)に一致します (PROC MIXEDとJMPで同じパラメータ化を行った場合)。
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BLUPパラメータしかない線形結合の標準誤差は、PROC MIXED DDFM=SATTERTHWAITEに一致します。
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固定効果とBLUPの両方のパラメータを持つ線形結合の標準誤差は、不釣合い(アンバランス)なデータに対しては、どのDDFMオプションでもPROC MIXEDに一致しません。ただし、これらの標準誤差は、DDFM=SATTERTHWAITEオプションとDDFM=KENWARDROGERオプションから得られる誤差の中間になります。釣合い(バランス)が取れているデータに対しては、どのようなDDFMオプションであっても、Kackar-Harville修正は影響しないため、JMPとSASで得られる標準誤差は等しくなります。
自由度
固定効果パラメータの線形結合だけを含む検定の自由度は、Kenward-Rogerの1次修正を使って計算されるため、 JMPでの検定結果はDDFM=KENWARDROGER(FIRSTORDER)オプションを使用した場合のPROC MIXEDと一致します。線形結合にBLUPパラメータが含まれている場合は、JMPではSatterthwaiteの近似を使って自由度を求めます。このため、結果は前述のようなパターンになります。
Kackar-Harvilleの修正とKenward-Rogerの自由度のアプローチの詳細については、Kenward and Roger(
1997
)を参照してください。Satterthwaite法の詳細については、『SAS/STAT 14.3 User’s Guide』(SAS Institute Inc.
2017
)の「MIXED procedure」章を参照してください。