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多変量分散分析が使われる状況の1つに、反復測定データの分析があります。反復測定データとは、時間が経過する中で各個体を反復的に測定し、収集したデータを指します。このようなデータは、経時データとも呼ばれます。JMPで多変量分散分析を行うには、1時点の測定値が1変数(1列)となるように構成されたデータが必要です。時点間には相関があるため、相関が球面性と呼ばれるパターンを形成している場合を除き、データを1列に積み重ねて一変量モデルとして分析することはできません。この問題については、前節の第 “一変量検定と球面性の検定”を参照してください。
個体内効果は、応答に対する変換(M行列)に時点間の差を求める変換を使えば、評価できます。時点間の差を求めるM行列としては、[対比]をはじめとして、「Helmert」「プロファイル」「平均」[多項](直交多項式)があります。時点間の差を示すこれらのM行列を指定した場合、ある種の新しい個体内効果が作成されると考えてください。モデルの効果は、そのモデルの効果と個体内効果との交互作用として解釈してください。たとえば、モデルの切片は、時点間に見られる全体の差を示すようになります。また、効果Aに対する検定結果は、「A*時点」という交互作用に対する検定、つまり、Aの水準ごとに時点間の平均差が異なることを確かめる検定になります。
多変量検定とそれに対応する一変量検定は、応答に対する変換とモデル効果によって構成された多変量検定を、一変量モデルだった場合と比較したものです。[合計](個体間)と[対比](個体内)の両方を使った一変量検定は、応答の値を1列に積み重ねて一変量モデルをあてはめることでも行えます。
直接実行する場合は、ポップアップメニューから[反復測定]を選択し、 反復測定ごとの個体内効果に名前をつけます。すると[対比]および[合計]関数の両方が自動的にあてはめられます。この方法の長所は、効果に適切な個体内効果の名前がつけられる点です。
間接的な方法では、2つの応答関数を1つずつ指定します。まず[合計]を実行し、次に[対比](または、時点間の差を表す他の関数)を実行します。間接的な方法を行った場合は、結果を解釈するときに、必ず、個体内効果とモデル効果を組み合わせて考える必要があります。